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生徒に模試を受けさせたら、自分も問題をすぐに解いて、生徒の関心が高いうちに授業で解説する。家庭学習の課題は漫然と与えるのではなく、この問題を解いたら次はどの問題を解かせるべきか、実力養成のストーリーを描きながら問題を厳選する。大内先生が実践していたことを、とにかく私もまねしました。一方で、化学担当の私は、実験で生徒の理解を促すことを重視していましたが、今治西高校でもそのスタイルを貫きました。実験・観察をたくさん体験させながら、難関大に合格する学力を付けることができるという自信を、今治西高校で得ることができました。
高い教科指導力を持つ教師の周りには、いつも生徒の姿があることも、大内先生が証明してくれました。大内先生に質問したくて生徒が集まり、先生は彼らから情報を集め、それを授業で生徒に還元します。生徒が授業のどこでつまずきそうになっているか、どんな大学・学部に関心を持っているか。授業力がある先生には、生徒がさまざまな情報を持って集まり、その情報が更に次の生徒を集めるのだ。大内先生が生徒と、そして先生を慕って進路室を訪れる多くの卒業生と話す様子を見てそう感じたものです。
生徒の心をつかめるかどうかは授業力次第で、生徒の心をつかんだ教師の言葉には、生徒はもちろん、ほかの教師も耳を傾ける。大内先生のさまざまな学校改革も、授業で生徒の心をつかんでいたことが土台にあったのではないか、と今の私は理解しています。
しかし、私がそうだったように、若い頃は近くに素晴らしい先生がいても、そのすごさを真に理解することは容易ではありません。先輩のすごさが分かること、それ自体が教師としての成長の証しかもしれません。だから、自分とは違うやり方をしている先生がいたら、なぜそうするのかよく考えてみる。そして、それでも分からなければ、とにかくまねをしてみる。それが、教師としての自分を育ててくれる恩師との出会いにつながるかもしれません。
大内先生の取り組みを自分なりに咀嚼(そしゃく)できるようになったのは、実は、今治西高校での授業に自信が持てるようになった時期とほぼ同じなんです。授業を通じて生徒をより理解できるようになったから、学校全体のことも考えられるようになったのかなあと思っているんです。 |
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