▲福岡県立八幡高校教頭
中島良博
Nakashima Yoshihiro 教職歴27年。同校に赴任して2年目。「モットーは『しなやかに、したたかに』。教育も組織運営も柔軟な根気が必要」
▲福岡県立八幡高校
坂田浩美
Sakata Hiromi 教職歴27年。同校に赴任して16年目。進路指導主事。「モットーは『Nothing comes from nothing.』(無からは何も生じない)」
内村尚俊
Uchimura Hisatoshi 教職歴24年。同校に赴任して15年目。2学年主任。「頭ではなく心で考えた行動をするよう心掛けています」
浦野浩二
Urano Koji 教職歴23年。同校に赴任して19年目。3学年主任。「最後まであきらめない粘り強い指導を心掛けていきたい」
改革のポイントの一つは、進路指導の組織化だ。国公立大現役合格にこだわり、学校の指導だけで志望を達成させることを目標とした。放課後や土曜セミナーなどの課外学習を組織的に進める一方、1年次から個別指導にも力を入れ、粘り強い学習指導を展開した。 進路指導の在り方を一変させたのが、05年度に導入した進路検討会だ。取り組みを主導した2学年主任の内村尚俊先生は、その狙いを次のように述べる。
「過去2年間の進学実績が好調だった要因を分析したところ、3学年担任団による生徒情報と大学情報の共有が大きかったことが分かりました。それまでは、志望校の検討は担任の力量に頼ることが大きく、年度あるいはクラスによって合格実績に差が見られました。そこで、担任団と教科担当が徹底的に情報を共有して生徒の進路を考えていく、全学年体制が必要だと考えました」
「担任は生徒の各教科の学力を把握しづらいものですが、教科担当を交えて検討することによって、生徒の教科ごとの実態や可能性が把握でき、生徒に合った志望校、受験方式や受験科目などが見えてきます。指導経験の浅い先生にとっては、検討の過程で話題になる大学や入試の情報などについて知識を深めることもできます。若手教師にとって何よりも重要なのは、検討会直後の面談に自信を持って臨むことができることです。進路検討会は、教師にとって指導力向上に欠かせない『学びの場』になりつつあることを感じます」
基礎学力や学習習慣の定着も徹底して行ってきた。その一つが、「日々課題」だ。教科書レベルの基礎的な内容を問うB5判の課題プリントで、その名の通り、毎日あるいは2日に1回程度の頻度で課す。 特に力を入れているのが数学だ。いずれの教科も1、2年次はほぼ毎日取り組ませ、3年次になると回数を減らすのに対して、数学は3年次でも「毎日」が基本となる。教室で他の生徒の答えを写してしまうことがないよう、ここ数年は、教室に入る前の登校時に回収している。 生徒も毎日取り組むのは大変だが、一日の最後の授業が終わった後や、通学中の待ち時間を使うなど、時間の使い方を工夫するようになる。取り組むのが「当たり前」という意識になり、学習習慣が定着していくという。 日々課題は、生徒把握にも大きな意義がある。進路指導主事の坂田浩美先生は、進路検討会を充実させるための欠かせないツールになっていると説明する。
「生徒の理解度や弱点に応じた課題とするため、プリントはほぼ毎日つくります。確かに手間が掛かりますが、毎日添削することで、生徒の学力を的確に把握できる。これが、進路検討会で個別学力試験の学力を検討する時の重要な判断材料になります」