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読解力向上プログラムで1年次に学習の土台をつくる |
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プロジェクトを通して、どの学力層でも意欲を高める機会をつくることができるようになった。しかし、読解力の不足は生徒の学力に深刻な影響を及ぼしている。物理担当の狩野直樹先生は、次のように述べる。
「物理の問題には、しばしば『ある物体が~』という文言が出てきます。そうした抽象的な表現に対する生徒の想像力が低下していると強く感じています。授業で説明する際は具体的な話に置き換え、それを再度抽象化して説明するという作業を繰り返しているのが現状です。抽象的な言葉を、具体的にイメージするための訓練が必要であると感じます」
同校は、将来の目標を明確に描くためには、論理的に考え、表現するための読解力が土台として不可欠だと考え、1年次に「読解力向上プログラム」を行い、「ドリームプラン」と「サクセスシステム」を学力向上面で支えている。1学年主任の八木原賢先生はその意義を次のように話す。
「夢を描き、それに基づいた学習計画を立てられたとしても、表現力や思考力がなければ学習成果は期待できません。生徒は読書量が少なく、成績上位層でも薄い書籍しか手にせず、複雑な評論に挑もうという生徒はほとんどいません。論理的な思考を支える読解力を育てていくことが、夢を描く視点を広げることにもなり、夢と日常の学習を結び付けることにもなるのです。
ですから、あらゆる学力の基礎になる読解力を伸ばし、『黒門プロジェクト』全体の効果をより高めることが、読解力向上プログラムの狙いなのです」
「読解力向上プログラム」の核は、週1回の読解力トレーニングだ。新聞の社説やコラムなどの短い文章を読ませ、要点に線を引かせる。年6
回の「要約の時間」では、3学年担任以外のすべての教師が添削に当たる。全校態勢で生徒の基礎学力を高めていこうとする意識を教師間で共有している点は、同校の強みだ。
即効性はあまりないが、効果は2年生以降にじわりと表れてくると言う。数学の文章題が苦手だった生徒が、トレーニングを1年間続けたところ、2年生以降の難しい問題にも抵抗なく取り組めるようになった。その効果は生徒自身も実感しており、1年生の終わりにアンケートを取ったところ、「読解力向上プログラム」の肯定率は8割を超えた。
今後の課題は、「黒門プロジェクト」においても、学力層別に綿密な指導を心掛けていくことだ。塚越究(きわむ)教頭は次のように述べる。
「『黒門プロジェクト』では、学力層を問わず、意欲を高められるようになってきました。今後、学力層別の指導の型が出来れば、更に効果的に“Want”と“Must”を結び付けられるでしょう。実績を一つひとつ確実に積み重ね、取り組みを更に向上させたいと思います」 |
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