30代教師の情熱
きし・ひでゆき

きし・ひでゆき

教職歴16年。徳島県立鳴門高校に赴任して4年目。担当科目は日本史。3学年担任。学力向上委員会の責任者も務める。徳島県埋蔵文化財センターに3年勤務、前任校では人権教育主事も務める。


徳島県立鳴門高校

◎1909(明治42)年開校の徳島県立撫養中学校が前身。「鳴高ビジョン2009」において5年後、10年後の中長期計画を立て、進学実績の向上を目指す。
◎教員数…74人 ◎1学年生徒数…約310人 ◎2009年度入試合格実績(現浪計)…国公立大は、神戸大、岡山大、広島大、山口大、徳島大などに計53人が合格。私立大は、慶應義塾大、早稲田大、同志社大、立命館大、龍谷大、関西大などに延べ202人が合格。

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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30代教師の情熱 学校を活性化させる『30代』は、何に悩み、何を課題と感じているのか

生徒と共に走りながら
受験を肯定的にとらえる主体的な姿勢を育てたい

徳島県立鳴門高校教諭 喜枝秀行

生徒を社会に送り出すために、「受験勉強や学校行事を通して、自ら考え、挑戦できるような姿勢を育てる」ことが目標という喜枝秀行先生。
強引な側面があると自己分析し、どのような時も生徒を受け止め、意欲を高められる懐の深さを持てるようになりたいと話す。

かつての私
「過去最高のクラス」が指導の在り方を見直す契機に

 教職歴は16年ですが、そのうち徳島県埋蔵文化財センターに3年間勤務し、前任校で人権教育主事を4年間務めたため、長らく担任業務から離れていました。しかし、この7年の経験は、教師としての大きな糧となっています。特に人権教育主事時代には、さまざまな課題を抱える生徒と出会い、教師が一方的に思いを伝えるのではなく、生徒が話せるようになるまで待つことが大切だと学びました。
 また、担当する日本史の指導でも転機がありました。日本史は暗記科目と思われていますが、私はアウトプットを重視した指導をしています。その理由は、前任校での経験にあります。その年、「これまでで最高の仕上がり」と自負したクラスがありました。のみ込みが早く、教えたことはどんどん吸収し、マーク型の模試では平均正答率7割以上という生徒たちでした。ところが、自信満々で臨んだセンター試験本番では、80点台1人、70点台2人……という惨たんたる結果で、模試よりも平均点が10点ほど下がったのです。「盆や正月まで補習をしてくれたのに、期待に沿えずにすみません」と謝ってきた生徒の顔を、私は正視できませんでした。謝らなければならないのは自分の方です。問題数にして約3問解けなかっただけなのですが、生徒にとっても、私にとっても、大きな3問でした。
 生徒たちは一生懸命勉強し、私も成果を感じていたのに、なぜ本番で実力を発揮できなかったのか……。私は、問題と生徒たちの自己採点結果を何度も見直しました。そこで気付いたのは、自分は教え込むだけで、知識を使う方法を伝えていなかったということです。
 どうしたら、どんな問題でも正確に解答できるようになるのか。定期考査や模試などの生徒の解答用紙を分析すると、惜しい解答がよく見られました。答えがのど元まで出掛かっているけれども出てこなかったり、アバウトな理解で満足しているという生徒の様子が見て取れたのです。せっかく覚えても、きちんと理解しなければ得点にはならない。思い出せない状態を放っておかずに、正確にアウトプット出来る状態にまで指導すべきだと気付いたのです。

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