調査データから探る指導のヒント 一定水準の知識があってもその活用は不十分な大学生
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調査データから探る指導のヒント vol.6

一定水準の知識があってもその活用は不十分な大学生

ベネッセ教育研究開発センター「大学生の学習・生活実態調査報告書」より
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図:大学での授業への取り組み

出典◎『大学生の学習・生活実態調査報告書』/調査時期◎2008年10月/調査方法◎インターネット調査/調査対象◎18~24歳の大学1~4年生(ただし、留学生、社会人経験者を除く)/有効回答数◎4,070人

知識や情報のインプットに高い成果

 は、大学での学習成果として期待される28項目について、大学生に大学生活を通じて身に付いたかどうか尋ね、肯定率(「かなり身についた」と「ある程度身についた」の合計)が高い順に並べた結果だ。上位には、コンピュータリテラシーや専門分野の知識に関する項目が分布し、知識獲得はかなり出来ているようだ。ところが、中下位には、課題解決や情報活用、思考の論理性・多様性に関する項目が多くあり、一定水準の知識はあっても、それを活用する力は十分に身に付いていない様子がうかがえる。

知識のアウトプットを高校でも経験させたい

 この結果を見た高校現場からは、「高校での学習の延長上ともいえる知識の獲得が上位にあり、本来、大学で身に付けてほしい力が上位にない」という指摘があった。更に、「高校での授業は知識の注入に終わり、生徒が学んだことをアウトプットする機会は定期考査などに限られる。しかし、高校は大学での学びの土台をつくる段階と考えると、知識や情報の活用を意識させる活動を授業に取り入れた方がよいのではないか」と話す。
 「小学校から大学までの教育の流れを意識すべき」という声もあった。「中学校では『総合的な学習の時間』や教科学習で自分の意見を伝えたり、調べ学習をしたりする機会が多いと聞く。高校でも、例えば英語ならシャドーイングや音読など、知識を活用する機会をつくり、大学教育へとつなげたい」というものだ。
 アウトプットする機会を設け、学習の成果を認めることは、自己肯定感や自信にも結び付く。生徒の学びの意欲を高め、積極的に授業に臨むようにするためにも、知識の活用を意識した活動を取り入れたい。

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