指導変革の軌跡 山形県立鶴岡南高校「生徒の主体性の育成」
五十嵐満

▲山形県立鶴岡南高校

五十嵐満

Igarashi Mitsuru
教職歴11年。同校に赴任して7年目。進路指導課。2学年担任。「生徒一人ひとりが自信を持てるような指導を心掛けている」

佐藤恵美

▲山形県立鶴岡南高校

佐藤恵美

Sato Emi
教職歴8年。同校に赴任して4年目。生徒指導課。2学年担任。「常に心に目標を。高い壁があればこそ、ジャンプのしがいもある」

萩原晴菜

▲山形県立鶴岡南高校

萩原晴菜

Hagihara Haruna
教職歴・赴任歴共に3年。教務課。2学年担任。「為せば成る、為さねば成らぬ何事も。成らぬは人の為さぬなりけり」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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「クラスのために何が出来るか」を生徒自身が考え行動する

 運営に際して、担任が意見を述べるのは基本的に企画段階だけだ。費用や安全面などについては助言するが、内容面には極力踏み込まない。ただ、どの程度、生徒に任せるかという見極めは、学級全体の雰囲気を見ながら適宜判断していると、佐藤雄樹先生は話す。

 「イベントでは、ともすれば元気の良い生徒ばかりが目立ってしまいます。取り組みを学級全体のものにするためには、内気な子が疎外されたり、同性だけで固まったりすることがないように目を配る必要があります」
 LHRの活用は、現行の学習指導要領を前向きにとらえた取り組みでもある。現行課程の下で学んできた生徒は、授業時数や学習内容の減少による学力低下の観点で見られがちだ。しかし、「総合的な学習の時間」の活動などを通して、旧課程の生徒以上に伸びている力もあるはず。その力を伸ばすことで、「人間の器」を大きく出来ないかと、難波先生は考えた。
 「以前、中学校の発表会を見学した時に、中学生が自らビデオカメラで撮影したり、照明を使ったりして積極的に動いている姿を見ました。今の中学生はこういうことが出来るのに、高校ではその力を伸ばすような取り組みをしていないことに気付きました。本校では、限られた時間できちんと成果を出すために、とかく何でも教師が用意してしまいがちでした。しかしそれでは、生徒の中にはほとんど何も残らないのではないかと考えました
 1年生から取り組みを進めてきた結果、2年生になった今では、事前の準備やスケジュール管理など、見通しを持って活動に取り組む生徒が増えたという。また、佐藤雄樹先生は次のような生徒の変化を挙げる。
 「教室には進路関係の資料を置いてある棚があります。普段は資料を出しっ放しにしておくなど、片付いていないことが多いのですが、ある時、私が注意したわけでもないのに、きちんと整理されていることがありました。それを見た時はうれしかったですね。LHRの企画立案というクラスメートのために汗を流す経験を通して、『皆のために出来ることはないか』ということに、おのずと目を向けられるようになったのではないでしょうか」
 他者のために働く経験で、クラスの一員としての自覚が芽生え、自律的な行動につながっているようだ。

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