教師と子どもの意識にズレ |
~ベネッセ教育総研「学力向上のための基本調査」(注)より~ |
ふだんの生活のしかたや学習に向かう姿勢など、教師と子どもとでは、意識にどのような違いがあるのだろうか。ベネッセ教育総研の調査から紹介する。 |
注
「学力向上のための基本調査」
目的…児童・生徒の学習到達度、学習に関する意識や活動実態の調査
対象…小学校5年生児童・教師および中学校2年生生徒・教師
調査時期…2003年1月27日~2月15日
調査内容…児童・生徒…国語、算数あるいは数学、英語(中学のみ)の各学力調査、学習についてのアンケート 教師:指導の状況に関するアンケート
調査方法…東北・関東・中部・近畿・中国・九州の小学校23校(児童1、707人、教師56人)、中学校16校(生徒2、023人、教師71人)に対して、学校通しによる自記式調査(テスト)にて実施 |
I 「生活態度」や「学習意識」は教師と子どもで大きなズレがある |
教師からみた子どもの姿と子ども自身の意識を比較したが、両者の間にズレがあることがわかった(図1)。
肯定的回答の「とてもあてはまる」だけに注目すると、子どもの肯定率のほうが高く、教師の肯定率が低い。例えば、「学びに向かう姿勢・態度」の項目では、子どもは36.1%が「自分は、やればできる」と「とてもそう思っている」一方で、教師の側は、8.9%しか子どもが「とてもそう思っている」と評価していない。 |
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II 学校と家庭での指導の連携が密なほど、子どもの学習意欲は高い |
家庭や学校での指導・学習の状況と学習の役立ち度の関係をみたのが図2。家庭でも学校でも、「勉強が社会でどう役立つのか」について、よく話をしたり考えたりしている子どものほうが、実際の学習の役立ち感も高い。これは小学校でも中学校でも同様の傾向である。 |
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III 今後の課題 |
子どもと教師の間には、良かれ悪しかれ意識のズレがあることがわかった。今後、絶対評価のなかで、子どもを客観的かつ多面的に把握し、評価していくことがいっそう大切になるだろう。
また、学校週五日制になり、子どもが家庭でどう過ごすかもポイント。子どもが意欲をもって学習に向かうためには、学校と保護者との連携がこれまで以上に必要になってくるだろう。
*今月号では、アンケート調査で把握した子どもの個性に応じた指導を実践したり、情報公開で地域との連携を密にしている学校の事例などを紹介する。 |