ベネッセ教育総合研究所
特集 豊かな学力の確かな育成に向けて
清音小学校
 清音村は岡山県の南部、倉敷市と総社市にはさまれた人口約6千人の村。稲作を中心に発展してきた村だが、近年は近郊野菜の生産も盛んでベッドタウン化も進んでいる。清音小は村内唯一の小学校で、環境・福祉を中心に地域と一体となって展開する「総合的な学習」は広く知られている。児童用の机は県内産のヒノキの間伐材を利用した個人専用。入学式前に新入生が保護者とともに組み立て、高さを調節しながら6年間使い、卒業時にはプレゼントされる。
〒719-1172
岡山県都窪郡清音村軽部666
TEL 0866-94-0103
FAX 0866-94-1040
清音小学校のホームページ
児童数/308人、
学級数/14学級
秋岡信正校長
秋岡信正校長
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実践事例(1)
岡山県清音村立清音小学校
「学力調査」と「校内評価データ」が
授業改善の視点を与えた
実践のポイント
(1)「総合的な学習」での成果を活かし、教科学力向上の研究に取り組むことで意見が一致。
(2)学力調査の結果は、算数の「数学的な考え方」に課題があることを示唆。
(3)校内の観点別評価を再分析し、「数学的な見方・考え方」に課題があることを確認。
(4)「総合的な学習」で開発されてきた「問題解決力」を伸ばす指導方法を活かして、数学的な考え方を育てる授業研究に着手。


 
 清音(きよね)小学校は、2000~01年度の2年間、岡山県都窪郡教育研究会の研究指定を受け、「『かかわる力』『あらわす力』『いかす力』を育む生活科・『総合的な学習の時間』(以下、『総合的な学習』)」の研究に取り組んだ。そして、02年度も研究を継続、3学期を迎えた1月、03年度の校内研究の検討が始まった。
写真
▲写真1 4年生の総合的な学習「広げよう、リサイクルの輪」(2003年度)
「総合的な学習」で育てた力を教科にも
 02年度2学期末に先生方が出した「校内研究の反省」(自己評価)は、「生活科と『総合的な学習』は、過去3年間の取り組みで十分な成果があり、残る課題は教科との連携で、特に発表力をもっと伸ばしたい」というものだった。
 また、同時期に行った保護者アンケートからは、生活科・「総合的な学習」を通した地域とのかかわりなどが高く評価された一方で、算数などの基礎学力に漠然とした不安があることがわかった。
 そこで、「総合的な学習」の研究はひと区切りにし、02年度に行った「総合的な学習と教科の連携」を足がかりに、03年度は教科の授業研究に取り組むことで、大半の先生の意見は一致した。
 しかし、研究教科については、さまざまな意見が出た。「学習活動が『総合的な学習』に最も近いから」と社会科を支持したり、「コミュニケーション力や表現力を伸ばすから」と国語を、「問題解決力に直結するすじ道を立てて考える力を伸ばすから」と算数や理科を支持したりする声があった。それぞれが「総合的な学習」の成果を活かしたいという強い思いがあるだけに、説得力があった。何度か会議を重ねても、結論は出なかった。
 生活科や「総合的な学習」の成果を教科に導入するには、研究として取り組んでいた前年と同レベルで、それぞれの取り組みを維持することが絶対条件だった。しかし、「これまで通りに生活科や『総合的な学習』をやりながら、二つ以上の教科で研究を始めることは現実には無理でした」(教務主任・横山克巳先生)
 たとえ判断が難しくても、「1教科に絞る」決断が必要だったのだ。3月後半に行われた02年度最後の会議では、意見が一致しないままタイムリミットがきた。結局いちばん意見が多かった「国語」に絞り、具体的な計画は新年度に持ち越しになった。


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