ベネッセ教育総合研究所
特集 教師の「授業力」向上のために
三木小学校データ
 東京都の東南部にある人口約32万8千人の品川区。三木小学校は、同区の西部、下町風情の残る高台の住宅街にある。児童数は少ないが、周辺地域の再開発で児童の増加が期待される。品川区の教育改革の一環である学校選択制の導入で競争が厳しくなるなか、同校は「学年担任制」で特色づくりを推進中。地域に開かれた学校にするために、積極的に地域の集会や行事にも参加して学校理解の浸透に努めている。
〒141-0033 品川区西品川3-16-28
TEL 03-3491-0404
FAX 03-3491-7641
http://www1.cts.ne.jp/‾mitsugi/
校長/松本清介先生
児童数/289人
学級数/12学級
松本清介校長
▲松本清介校長
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実践事例(1)
東京都品川区立三木小学校
「学年担任制」(GT)で、
教師同士が高め合い、指導力を磨く
 教師一人が独力で指導力を向上させるのには限界がある。その限界を学校組織全体で乗り越え、教師全員の指導力向上を図ろうという三木小学校の「学年担任制」を中心にした取り組みを紹介しよう。


複数の教師が役割を分担して指導する
 三木(みつぎ)小学校が実践する「学年担任制」(以下、GT・注)は、「多くの目で子どもを見とる」ことにねらいをおき、複数の教師が、学年担任として同じ立場で学年全員の学習・生活指導にあたるシステムである。従来の学級は存在せず、通常は2グループに分かれて学習し、教科・領域によっては習熟度別や合同授業など、集団の編成が変わる。低学年は、グループごとの学習・生活の比重が中・高学年より大きくなっている。

 GTとは「学年担任制」を略した呼び方で、三木小学校で独自に使っている。

 6年生のケースで見てみよう()。
図表
 児童数41人、2グループに三人の担任がいる。教科指導は、一人が算数・理科・体育、一人が国語・社会・家庭科、もう一人は音楽を分担する(音楽専科の先生は、他学年の音楽も教える)。一方、朝の会や帰りの会、給食や掃除など生活指導のほか、児童・保護者との個人面談・保護者会・通知表作成などは三人全員で行う。学級担任制と比べると、一人の子どもに対し3倍の大人の目が注がれることになる。
 運用が柔軟であることも、GTの特徴だ。例えば、「時間割」は固定せず、単元内容に応じ、各教科の週時数を増減できるように毎週組み直している。個人面談では、児童と保護者が複数の担任から一人を選ぶなどの工夫をしている。
 研究推進委員長の伊藤裕子教諭は、このシステムを教師側の視点からとらえ直してこう語る。
 「GTは、週1回の学年会や日々の情報交換など、時間も手間もかかります。しかし、それ以上にメリットがあります。例えば、教師が聞き役・叱り役・なだめ役などと役割分担できるのもその一つ。通知表も、複数の目による冷静な評価ができるようになりました」


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