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プロジェクトで一人ひとりが力を発揮 |
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こんなオープンな職員室の雰囲気はどのようにして生まれたのだろうか。
03年度、田中校長と西村教頭が着任した際には、指導的な立場になれる「力のある先生」がたくさんいるのに、学校全体ではその力が十分に発揮できていない状態だったという。
改善のきっかけになったのは、国立教育政策研究所の木岡一明総括研究官の指導を仰ぎ、学校評価に取り組んだことだ。保護者による評価や教職員による自己評価を実施した。出てきた課題を検討しながら「教育に関する思いが出し合える集団づくりが大事だ」と実感したという。
そんな思いから今年度から始めたのがプロジェクトチームによる学校運営だ。教員全員が集まる会議は月に1回しか持てないので、英語活動や運動会などのテーマごとに、学年一人ずつのプロジェクトで学校をリードする学年横断によるチームをつくった。
面白いのは「プロジェクトが出した案は反対があってもまずやってみる。そしてそのなかで改善していく」という「即実行」をルール化したことである。
この大胆な権限委譲によって、プロジェクトに入った先生は得意な分野で力を発揮できるようになった。その結果、「自分たちの思いが学校教育に生かされている」という意識が強くなってきた。
ただし、「基礎学力プロジェクト」だけは、各学年で取り組んだ。三人の学級担任が顔をつき合わせて「学校が目指す児童の姿はこうだ」「でも、いまの子どもたちはこうだ」などと話し合いながら、取り組みを決めていった。
「子どもの実態や担任のカラーが違うので、やり方はそれぞれ違うんです。ただ、三人で話をしていると、こんな子になってほしいという『目指す子どもの姿』はみんな一緒になるのですよ」(森廣先生)
プロジェクトのよさは、教員が「同じ目的に向かって進める」ことだと西村教頭はいう。
「計画した取り組みのなかには、できることも、できないこともある。でも、学校をこういう方向に変えていこうと、同じ意識で活動をしたということが、学校のエネルギーになるんです」
田中校長の「ティーチャー・ボーダレス(教師間の壁を取り払う)、クラス・ボーダレス(クラスの壁を取り払う)の学校をつくりたい」という願いは、先生方の日々の機動力を発揮した実践の高まりと子どもたちのいきいきした姿を通して、「確実に学校が変わってきた」という「手応え」に変わりつつあるようだ。 |
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