ベネッセ教育総合研究所
富山県富山市立熊野小学校
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ITの輪を学校全体に広げるために
 渡辺先生のような熟達者だけにIT活用業務が集中し、他の先生はそれに頼ってしまうことも多い。熊野小のIT活用が全体に広がったポイントは、次の三つだ。

1.ITのメリットを授業公開や専門家の話を通じて実感させる

 教師たちにデジタル教材の効果を伝え、「使いたい」と思わせることが大切。昨年、渡辺先生の授業を公開し、大学の先生に解説してもらったのがそのきっかけになった。
 「どの場面でどういう目的で使っているのかを説明していただき、はじめて見る先生にも、イメージを持ってもらえました」(渡辺先生)

2.機器に対する抵抗感を、小さな工夫の積み重ねで解消する

 渡辺先生とともに同校の実践を支える情報教育副主任の深井美和先生は、先生方の抵抗感を取り除くために、次のような取り組みをしている。
 「例えば周辺機器をパソコン本体に接続するとき、接続先がわかるように、機器のコードと接続先に同色のテープを貼ってつなぎやすくしています。それから、パソコンがフリーズ(止まる)してしまうと不安を感じる先生も多いので、そんなときは、慌てずに『よくあるんですよね』と。周りの先生にも聞こえるように伝えます」

3.「先生同士で教え合う」雰囲気をつくる

 パソコン初心者は、ちょっとしたことで操作がわからなくなり、お手上げ状態になりがち。そんなとき、気兼ねなく聞ける存在が近くにいることが大切だ。しかし、いつも詳しい先生がいるとは限らないし、同じ先生にばかり質問が集中しても対応しきれない。そこで深井先生は、「それは〇〇先生にこの間教えたから、聞いてみてくれますか?」と、ほかの先生に答えてもらうようにする。こうした積み重ねで、教え合いの輪が広がっていったのだ。
 現在、一般企業では社員全員にパソコンが支給され、ペンやノートと同じような感覚で使われている。教育現場にもその波は訪れつつある。熊野小の実践は、その波にうまく乗るための一つの道筋を示している。


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