ベネッセ教育総合研究所
朝日ヶ丘小学校
朝日ヶ丘小学校データ
 兵庫県東部に位置する芦屋市の山手に、住宅開発にともない1972年に開校。芦屋市教育委員会「学力向上研究支援プラン」の指定校として学力向上のための取り組みを続ける。01年の「全国花いっぱいコンクール」で「兵庫県最優秀賞」を受賞するなど、環境美化への取り組みも盛ん。

校長/田村壽秀先生
児童数/462人
学級数/15学級

〒659-0012
兵庫県芦屋市朝日ヶ丘町10-10
TEL 0797-32-1115
FAX 0797-38-7389
田村壽秀校長
▲田村壽秀校長
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学力向上の取り組み
独自の評価規準や公開授業で授業の質を向上させる
兵庫県 芦屋市立朝日ヶ丘小学校
実践のポイント
(1)評価規準では、具体的な支援の方法を盛り込むことで、指導と評価を一体化させている。
(2)すべての教師が年に2回の公開授業を行い、力量の向上に努めている。
(3)一人ひとりの意見を大切にするボトムアップの精神により、つねに新鮮なアイデアを取り入れている。


否定的な言葉を排した独自の評価規準
 朝日ヶ丘小学校では、「指導と評価の一体化」という教育目標を掲げ、さまざまな学校改革に取り組んでいる。それを端的に表しているのが、独自に作成された評価規準だ(図1)。
図表
 一般に、評価規準におけるABC基準は、「大変よろしい」「よろしい」「もう少し」などの言葉で表現されることが多い。ところが、朝日ヶ丘小学校では、「もう少し」に当たる項目を「努力を必要とする子どもへの支援」と表現している。そこに書かれた内容も「~が理解できない」といった否定的なものではなく、Cの子どもをBにするため「どのような支援が必要か」という視点から具体的な指導内容がていねいに示されている。こうした評価規準を作成した理由を田村壽秀校長が説明する。
 「否定的な言葉で児童をとらえても進歩はありません。そもそも学力の評価は、児童の振り分けが目的なのではなく、次の指導につなげるための指針であるべきです。そこで、いかにして評価を活用して児童の学力を向上させるかを考えた結果、現在の評価規準のかたちが生まれました」
 朝日ヶ丘小学校では、新学習指導要領が施行された02年度から1年に3教科ずつ、評価規準を作成し、04年度にすべての教科を完成させた。実践してまだ日は浅いとはいえ、その効果は徐々に表れているという。
 「いかにC評価の子どもをBに引き上げるか。また、最初からCの子どもを出さない授業を心がけるか。そうした考えが教師の間に浸透し、全体的にC評価の児童は減少しています」(田村校長)
 評価規準の内容はわかりやすくかみ砕き、保護者にも提示している。前向きな表現で子どもの学習意欲を刺激する内容には、保護者からも多くの賛同の声が寄せられているという。
 もっとも、朝日ヶ丘小学校の評価規準づくりは、まだ始まったばかりだ。すべての教科が完成したところで、しだいに改善すべき課題も見えてきた。
 「単元ごとに、評価の観点をあまりに細かく定めたために、内容が複雑になっているという問題があります。そのまま授業に用いれば、評価に追われて肝心の指導がおろそかになるという本末転倒も生じかねないのが現状です」(田村校長)
 そのため、現在は、各教師がそれぞれの教科の規準を見直し、評価の観点を大幅にスリム化する作業を進めている。単元によっては、10の観点が3つにまで厳選されたものもある。
 「評価の観点をスリム化することで、どの部分に焦点を当てて教えるべきかという本質的な到達点も自ずと明確になります。それによって、授業もよりいっそう充実しますから、評価規準づくりは、指導力のアップにも大いに役立っているといえます」(田村校長)


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