ベネッセ教育総合研究所
東明小学校
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学校全体でノウハウを共有するため
 東明小では「育てたい情報活用の実践力」を低学年、中学年、高学年でそれぞれ定義し、学年ごとの「情報リテラシーカリキュラム表」に基づいて、「総合的な学習の時間」に情報教育を行っている。
  6年生担任の中野淳子先生は、学期末にカリキュラム表で未達成の項目を各学級担任の先生とチェックし、ITサポーターと相談しながら授業計画を立て直すなど、学年・学級間で学習内容にバラツキが出ないよう努力している。こうした取り組みの成果を、04年10月まで東明小学校を担当したITサポーターの北森真裕美さんはこう話す。
  「低学年からまとめたり、発表したりする機会が多いためか、高学年生の理解力、プレゼンテーション能力が高くなっていると思います。職員会議でもパソコンを使う先生方のIT活用能力の高さが、好影響を与えているのでしょうね」
  授業にデジタルコンテンツを取り入れる際の工夫や、効果的な使い方などのノウハウは、すべての教師で共有することが理想だ。もちろん、IT活用に関する教師間の力量の差も解消しなければならない。まずはプロジェクターやパソコンなどのハードの使い方を把握してもらい、そのうえでソフトを探し、授業で使いこなすノウハウを身につけていくよう段階的に広げていかなければならないと渡辺先生は考えている。しかし、基礎となるのは「授業」という思いも強い。
  「まず自分のしたい授業のイメージや到達目標があって、そこに、このコンテンツだからこそできる学びのイメージを重ね合わせていく。まずは授業の流れありきです」(渡辺先生)
  「自分なりに課題があれば、『このコンテンツはこの授業で使える』というのが伝わります。そこから学校全体でノウハウを共有していきたいです」(北川校長)


COLUMN1
 カリキュラムに沿った授業を行うための先生の指導をサポート
写真 ベネッセコーポレーション・ITサポーター
(04年10月まで東明小担当)北森真裕美
(04年11月から東明小担当)関忠司
 現在、ITサポーターとして東明小とかかわっている関さんは、サポート状況を次のように語る。
 「先生方との入念な打ち合わせのおかげで、私も先生のねらいを把握し、授業で使用するテンプレートの準備や、技術的な準備を的確に行うことができますし、ソフトの紹介や授業の流れなどの提案もきちんとできます。また、先生方からの依頼があれば、環境の設定、リンク集の作成、写真・ビデオ撮影等もこなしています」
 北森さんは東明小学校のIT授業をこのように見ている。
 「東明小は、全学年独自の情報リテラシーカリキュラムがあるので、その場しのぎの授業にはなりません。先生からの相談も『何をしたらよいか』というものではなく『コンテンツをいかに有効に活用するか』といった内容がほとんどです」
 ITサポーターは、他校の実践例の情報提供にも力を入れている。旧松任市のサポーター4名全員が、各自の担当校で他校の事例や、授業や業務に役立つウェブサイトなどを紹介してきた。さらに、05年1月からは月刊で『サポーター通信』を作成し、各担当校に配布している。
 ※ITサポーター
ベネッセコーポレーションの「スクールイントラパック」のオプションサービス。専門のサポートスタッフが毎月定期的に訪問し、授業でのパソコン活用ついて教師と一緒に検討し、授業前のパソコン機器の準備や授業中の先生、子どものパソコン操作の補助などを行う。


COLUMN2
「わかる授業」の実現をバックアップする
石川県白山市教育委員会学校教育課
 東明小のある旧松任市では、プラズマディスプレイの学校配備、テレビ会議システムの構築などのIT環境の整備が進んでいる。
 「旧松任市では、2002、03年度の『次世代ITを活用した未来型教育開発事業』を機に、光ファイバーの高速回線を通じて小・中学校全13校がデータを共有できるようになりました」(学校教育課)  この事業のきっかけとなったのは、「学校教育で動画や音声を快適に使えるように」という教育委員会の思いだ。
 「県の教育センターで伝統工芸や地域的なお祭りなどを撮った動画ライブラリーをつくったんですが、通信の遅い回線ではダウンロードに時間がかかり、授業で使いづらいという欠点がありました。インターネットのメリットを実感するには高速回線は必須です」(学校教育課)
 パソコンは小学校が児童2人に対し1台。中学校は生徒1人1台をパソコンルームに導入。また、長期休暇中には教師を対象としたITサポーターによる研修会も開催している。
 「先生方のニーズにあった研修を、適正なレベルで行うため、複数のメニューを用意して選んでいただくなどしています。ITサポーターさんにも校内での研修会、ソフト活用の推進・提案などで助けていただいて、先生方のITに対する意識は高まっていると思います」(学校教育課)
 こうした環境整備の最終的なゴールは、子どもたちに「わかる授業」を提供することだ。  「ITを一つの道具としてストレスなく使いこなせるように環境を整備していくことが我々の役目です。そうすることで先生方がIT教材をより効果的に活用できるようになり、ひいてはそれが子どもの『わかる』という反応にかえってきます。市町村合併に伴い、市内の小・中学校は32校に増えましたが、旧松任市で得た成果をさらに広げていきたいと思っています」(学校教育課)
※松任市は、2005年2月1日に周辺7町村と合併し、白山市になりました。
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