ベネッセ教育総合研究所
Case Study 学力調査を生かした実践事例
中井 豊校長
中井 豊校長

大阪府寝屋川市立
第十中学校
〒572-0003
大阪府寝屋川市成田南町20-7
TEL/072-834-6996 FAX/072-834-6993
http://www.city.neyagawa.osaka.jp
/school/j/dai10/

校長/中井豊先生 生徒数/405名 学級数/13学級

寝屋川市は、大阪市の中心から15km、京都市の中心から35kmの距離にある。緑豊かな丘陵地にある第十中学校は、校区に三井小学校、明徳小学校、宇谷小学校の3校を持つが、最近は周辺団地の高齢化で児童・生徒数が減少。
05年度には明徳小学校の三井小学校への統合も予定されている。そうしたなかで、第十中学校では子どもたちの人間関係の希薄化を防ぎ、社会性を育成することを課題に、小中9年間を見通した基礎学力の定着と学習意欲の向上に取り組んでいる。
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テーマ3 小・中連携による学力向上の取り組み(1)
小6・中1の理科合同授業で豊かな人間形成を目指す
 生徒指導や基礎学力の定着に課題を抱えていた第十中学校。異年齢による合同授業が、豊かな人間性を育むことにつながるはずだ、という強い信念のもと、2003年から小中連携による指導に力をいれてきた。特に「理科」に重点を置いた小中一貫教育の指導を実践している第十中学校の取り組みを紹介する。


小6と中1を共に学ばせ他を思いやる気持ちを育む
 大阪や京都のベッドタウンとして位置づけられる寝屋川市。その東部丘陵地にある第十中学校は、文部科学省の研究開発学校として、2003年度から小中連携による教育を推進。校区の三井小学校、明徳小学校、宇谷小学校の3校と共に、小学校6年生と中学校1年生の理科の合同授業に取り組んでいる。(図1)
図1
■図1 第十中学校区小中一貫教育(文部科学省の研究開発校に指定)
 第十中学校は住民の高齢化が進む住宅団地を校区に持ち、校区内にある3つの小学校全てで生徒数は減少傾向にある。
 中井豊校長が第十中学校に赴任したのは4年前。当時はちょうど、小学校で学級崩壊を経験した子どもたちが中学校に進学した頃で、生徒たちの基礎学力の低さは歴然としていた。また、異年齢間はもとより同じ年齢同士でも集団で遊ぶ姿はあまり見られず、子どもたちは人間関係づくりが下手になってきている。実際、3つの小学校から集まる新しい仲間に慣れることができず、学習意欲を高めていけない生徒がいることを課題と感じていた。
 「そうした課題に対応するために、まずは小・中学校間の学習指導や生徒指導の段差を小さくすることを考えました。小学校と中学校の教師が協力し、少人数指導などのきめ細かな指導を行うことで学習意欲を向上させ、基礎学力の定着を図り、何事にも自分から意欲的、創造的に取り組んでいくことのできる子どもたちの育成を目指したのです。それだけに、生きる力につながる確かな学力を育むカリキュラムと教材づくり、そして指導法の開発が急務だと感じました。合同授業を通して異年齢の子どもたちが力を合わせて授業を進めていくことは、他と協調し、他を思いやり、一緒に感動する心や豊かな人間性を育むことにつながるはずだと考えたのです」(中井校長)


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