ベネッセ教育総合研究所
Case Study 学力調査を生かした実践事例
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学校と家庭の連携システムをつくる
 平野小学校では、この「知恵袋」を作る上で大切にしている視点がある。学校が教育テーマとして掲げている「総合的な人間づくり」だ。
 「平野小の研究課題は『子ども研究』『子ども理解』『学習の個性化』です。どう効率的に教えるかだけではなく、一人ひとりの子どもをしっかり見る姿勢を大切にしています」(外山副校長)
 「また、学習の外発的動機だけではなく、面白い授業をしたり学ぶ共同体を作っていくことで、子どもたちの内発的動機を高めていくことを目指しています。そうすることで、子どもたちは受験ストレスからも解放され、平野小が目指す『総合的な人間づくり』ができると考えているからです」
 こうした学校の方針を保護者に理解してもらうための仕掛けとして、平野小学校は学力調査の結果を活用している。学級集会の場を利用して、保護者に学力調査の結果と分析を報告し、保護者との目線合わせを行っているのだ。
 校区が広い平野小学校では、普段、学校と家庭が疎遠になりがちだ。そこで、より多くの保護者に参加してもらうため、「朝ごはんを食べる子は学力が高い」など、学力調査の結果から浮かび上がってきた課題から、ややショッキングなテーマを設定して保護者の関心を高め、保護者の積極的参加につなげた。
 学級集会では、学力調査の結果を受け、子どもたちには「教科学力」の狭い学力だけでなく、「豊かな体験」や「基本的生活習慣」などを含めた広い意味での学力を身につけさせることが必要なこと、それらの力は「教科学力」を高める上で相関関係にあることなどを説明し、学校と家庭が一貫した教育方針で子どもを育てていく必要性を強調した。
 保護者が学校の教育理念や現状を把握しきれていないと、学校と家庭の間に教育方針のズレが生じてしまうが、調査結果という、客観的な材料を提示することで、教育現場で抱える問題点を保護者に目に見える形で伝えることができた。(図4)
図4
■図4 学力調査の結果をもとに作成した保護者向けの配付資料(一部)

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保護者からも「学校がめざす教育のあり方が理解できた」との共感を得ている。
 また、学級集会では、育児で共通の悩みを抱えた保護者同士をグループ編成し、話し合いの場を設けた。普段、希薄になりがちな保護者同士の交流を図ることで、自助を高め合うことが目的だ。


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