ベネッセ教育総合研究所
地方自治体がひらく新しい教育
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共通課題を基点に学力全般を向上
 子どもの意欲を育むには、それを引き出すための教師の指導力も欠かせない。しかし、1学年が10人以下の学校から100人以上の学校まで学校の事情が様々に異なる篠山市では、学力向上の施策を一律には実施しにくい。そこで、篠山市教育委員会では、学習・生活実態調査の結果から、各学校の〝核〟となり得る共通の課題を洗い出し、そこから教師の指導力向上を図ることで、全体的なレベルアップにつなげようと考えている。
  そのために教育委員会は、市内の学校に共通の課題認識を持ってもらうための客観的なデータを示し、よい事例をどんどん拾い上げて発信していきたいと考えている。
  「05年度は、調査で明らかになった『考える力』の課題を踏まえて、算数の授業にディスカッションを取り入れている小学校を学力向上の研究モデル校に指定しました。ここでは、一つの問題を正答に導くための過程を議論させることで、子どもたちに考える力を身につけさせています」(細見氏)
  教師は授業展開を予測し、ある程度のマニュアルはつくるが、授業の進行役は児童に任せるなど、子どもの主体性に委ねるという。
  「自分で『考える』授業ができれば、子どもはその教科に自信を持ち、他教科の意欲にもつながっていきます。もちろん、意欲だけでなく、ディスカッションを通じて問題にアプローチする手法は、他の教科へも応用できるでしょう。こうした取り組みを、公開授業を通して多くの先生に見てもらうことで、広義、狭義の双方の学力向上につなげたいと考えています」(細見氏)
  学校、家庭、地域の三位一体で臨む篠山市の今後に注目したい。


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