ベネッセ教育総合研究所
地方自治体がひらく新しい教育
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3 縦割りの活動が人間関係の固定化を防ぐ
 さらに、縦割り活動の一環として取り組んでいるのが、地域への奉仕活動だ。「総合的な学習の時間」を担当する堀香織先生が、その趣旨を説明する。
  「中学生も地域の一員であることには変わりありません。その自覚を促すために、『自分には何ができるか』という視点を持たせ、地域への貢献活動を後押ししています」
  その活動内容はさまざまだ。一人暮らしの高齢者の家を訪ね、手伝えることはないかと尋ねたり、福祉施設の美化活動に参加したり、ガードレールやロードミラーを磨いたり、道ばたのゴミ拾いや草むしりをしたりする。こうした活動を3年前から継続し、今では老人会の高齢者をはじめ、地域住民と篠山東中学校の生徒との間には、確かな信頼関係が築かれつつある。
  こうした活動の成果を、堀先生はこう評価する。
  「当校は小規模校のため、生徒間の人間関係が固定してしまいがちです。それが縦割り活動を導入してから、多くの生徒にリーダーシップが芽生え、生徒が互いを見直すような関係が生まれました」
  取り組みのなかで意外な一面を見せる生徒も少なくないという。例えば、周囲の反応などお構いなしに振舞っていた生徒が、高齢者を気遣い、優しく手を差し伸べる姿も見られた。
  また、当初、地域の住民のなかには、「今どきの中学生は――」などというマイナスイメージを抱く人もいたが、そうした固定観念も払拭できたと話す。
  活動から得た自信や成就感は、学習態度にもよい影響を与えているようだ。堀先生が続ける。
  「授業中、発表することに消極的だったり、取り組みに対して諦めがちだったりした生徒が、前向きな姿勢を見せるようになりました。自分も人の役に立てるんだという気づきや喜びが、次は何をやろうかという前向きな気持ちにつながるのだと思います」
  地域との連携を通じて成長するのは生徒だけではない。教師にとっても貴重な体験だと、荻野校長は話す。
  「教師自身が、地域を知らないケースが少なくないですからね。また、すべての教師が運営に携わることから、教師の間にも一体感が生まれました。これは教科別の取り組みでは見られないことです」
  学校と地域との連携が重視される今、教師を含め学校全体が一丸となって地域に働きかける篠山東中学校の取り組みから学ぶところは大きい。
▼図2
図2


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