教育現場の挑戦 「個」を育てる授業づくり

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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授業公開で子どもを捉える観察力を鍛える

 授業改善に役立っている授業公開だが、その真の狙いは、授業手法の盗み合いではなく、いろいろな子どもの姿を見て、意見を出し合い、子ども理解を深め、指導に生かすことにある。一般的に、授業公開後の研修では抽象論にまとめてしまう傾向があるが、堀川小学校は「校内研修は子どものためのもの」という姿勢で具体的な改善案を求めていく。
  堀川小学校の教育研究実践は、年度当初に教務主任が打ち出す「教務提案」(学校全体の研究方針)を基に、各教師が「追究単元」を決めることから始まる。追究単元とは、学級の児童の実態を基に担任が教材を決めて進めていく単元のことで、教科の学習内容を深めることだけでなく、単元での活動や発言、話し合い、思考などを通して、自分を見つめ、生き方を探っていくことを目的とする。
  研修の際、授業者にも見学者にも求められるのが、「具体的な子どもの姿を基に語る」姿勢だ。例えば堀川小学校では、「あの場面で○○と発言したAさん」「あそこで手を挙げられなかったBさん」というように、一人ひとりの学びの現状を具体的にとらえ、可能性を描く。子どもを深く理解することが、適切な支援につながるからだ。そのため、授業法や「教師がどうだったか」が議論の中心になることはない。先入観や印象論、一般的な方法論で語ることのないようにもしている。
  授業公開では、見学者は子どもたちの発言やつぶやき、表情などを記録し、気がついたことを書き留める。授業公開が多いため、授業後、見学者が集まって検討する時間がないこともあるが、その場合は授業者が放課後、見学者を回って意見を聞く。
  また、公開する授業は必ずビデオを撮り、授業後に子どもの様子や発言を書き起こす写真3)。見学者の助言を受けて、授業者が授業を振り返るときなどは、必ずこの事実に立ち戻るようにしているわけだ。
  そして、ほかのクラスの子どもたちと向き合う機会になるのが、「中間授業研究発表」につながる校内研修だ。教師全員が三つの部会に分かれ、各部会の授業者の学級から、数人の「観察対象児童」を選ぶ。授業者以外の教師は必ずそのうち1人を担当し、その子どもの発言や行動を追い続けていく。こうした取り組みを繰り返すことで、教師の子どもを捉える目が鍛えられていくのだ。
写真3
写真3 ビデオを基に、授業記録を書き起こす。一人ひとりの発言や行動を細かく記し、子どもたちの姿を捉えていく

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