教師がつながる「授業研究」
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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日本型研修の導入で米国の教師に生じたプロ意識

 1999年ごろから、アメリカでは日本型の研修が急速に広がりました。全く新しい研修によって、アメリカの教師はどのように変わったのでしょうか。
  特筆すべきは、教師がプロとしての意識を回復させたことです。アメリカの伝統的な研修は、研究者が教師に指導法を教えるスタイルでした。それが、教師のプロ意識を希薄にしていたのです。自分自身で子どもの思考を研究して成果を上げるプロセスは、教師のプロ意識を呼び覚ましました。例えば、以前は授業の成果が出ないときは、子どものせいにしていた教師が多かったのですが、日本型の研修にすることで、今では自分の技術を成長させることに目を向けるようになっています。
  同様に、ある学校では、「できる子」「できない子」を分類する傾向にありましたが、研究が進むにつれ、子どもの能力を固定化することはほとんどなくなりました。子どもの能力は決まっておらず、「授業を変えれば子どもも変わる」と気づいたからです。
  これまで、アメリカでは「テストがすべて」とする傾向にありましたが、今は日本の教育と同じく、「人間を育てる」という視点が強くなりました。更に、教師自身の学びへの意欲が高まり、外部指導者を研修に招くケースが増えたことも、日本型の研修が根付いてきた表れといえるでしょう。
  自国の文化には気づきにくいものです。日本の先生方は、自分たちが伝統的に続けている研修の国際的な評価を意識していないかもしれません。しかし近年、アメリカはもちろん、香港やシンガポール、中国、韓国、インドネシア、イランといったアジア諸国や、ヨーロッパの国々からも注目されていることに、誇りを持っていただきたいと思います。

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