吹田市は、全18の中学校区において「小中一貫教育」を推進している。学習意欲や理解度の低下、不登校の増加などへの対策として、2002年度に策定した「学校教育改革プラン21」の柱に位置づけられている。03年度以降、パイロット校を指定して研究を促進し、府および市教育委員会(以下、市教委)や有識者などで構成される「小中一貫教育推進協議会」など、基盤となる制度の整備に力を注ぐ。また、中学校区ごとに管理職や推進担当者による推進会議を持ち、内容の充実を図っている。
吹田市の小中一貫教育の方針をわかりやすく示しているのが、校区ごとに達成度を確認するための「吹田市小中一貫教育実施内容リスト」だ(図1)。「学習指導」「生徒指導・養護教育」「行事・児童会生徒会・部活動」「学校運営・組織・教員の交流」の4分野からなる。学校教育室指導課の大田正義課長は、「単純な小中『連携』から、9年間を見据えた『一貫』教育へと取り組みを深めるための道筋を段階的に示しました」と話す。各校区がこのリストを参考にして、出前授業や合同授業、児童・生徒指導方針の統一、キャリア教育など、小学校と中学校をつなぐ取り組みの質を高めてもらい、小学校から中学校へと一貫した指導が行われることをめざしている。
実際、「学力実態把握」の項目では、かつては調査結果を学校ごとでのみ把握していたが、学習意欲を共通課題として各校が結果を共有し、指導改善に役立てる例も出てきた。 |