私の子どもは高校2年生です。子どもが、第一志望校に合格する自信がない、といって志望校を変更しようとしています。まだ早すぎるような気がするのですが、いわゆる「志望校を下げる」のは、いつごろから考えるべきなのでしょうか。

(質問者:栃木県/高2女子・母)

A現役合格にこだわる必要はない

まず、現役合格以外の選択肢について、考えてみましょう。何年間も浪人生活を続けるのは考えものですが、たとえ1年浪人したとしても、その先の人生は長いのですから、大した差にはなりません。私が大学生の時を思い起こすと、学内でリーダー的存在になっていた人は、浪人経験者でした。恐らく、浪人しながら「大学に入ったら〇〇をしよう」としっかり考えた上で、大学生になったのだと思います。さらには、社会で成功している人は現役合格者だけ、とは限りません。

「〇年生の〇月になったら〇〇大は無理」などと決める必要はまったくありません。例えば、難関大学でも入試科目の少ない学部であれば学習科目を絞ることができます。合格最低点をチェックし、「〇月までに〇〇点まで模試の点数をアップさせれば可能性はある」などと、実際に合格可能な戦略を立てて実行することができるはずです。志望校を下げるよりも前にできることを頑張るという姿勢に変えてみましょう。

浪人するとお金がかかる、と言われますが、本当にそうでしょうか。浪人した結果、志望する大学に合格できれば、本意でない大学に入った場合と比べて、その後の人生が精神的にも経済的にもより豊かなものとなる可能性が高いでしょう。そのリターンは浪人1年分の費用より何倍も大きいはずです。予備校に行かなくても志望校の過去問を分析して勉強することが可能ですし、予備校に通ったとしても、そこでの講師やライバルとの出会いは現役合格では得られない貴重な財産となります。そうした中長期の視点で考えることが大切です。

ただし、医学部を志望している場合は別です。一人前の医師として病院に勤務できるようになるまでには何年もかかりますから、難関大学の医学部にこだわって浪人するよりも、現役合格可能な難易度の医学部に入り、少しでも早くスタートラインに立つ方が得だと言えます。難易度を下げると私立大学しかなく、学費が気になるという場合でも、奨学金の制度が充実している大学が数多くあります。卒業後に指定地域の病院で勤務することを条件に返済不要の給付型奨学金を整備している自治体も多いので、調べてみることをお勧めします。