毎年、夏休みの宿題を計画通りに進められず、終わらないまま夏休みを終えても、平気な顔をして学校に行ってしまいます。普段の学習でも、1日に取り組むページ数などを決めても、計画通りに進められません。親がフォローした方がよいのでしょうか?

(質問者:東京都/小5男子・母)

A「親のフォローが不可欠。「7ステップ方式」で取り組ませる」

長年、小学校の教師をしてきた経験から言うと、夏休みの宿題に自ら計画的に取り組める子はわずかで、夏休みの後半になって、親子で慌てるケースが多いです。宿題が終わらなくても平気とのことですが、本人は平静を装っていても、不安な気持ちは抱いているはずなので、保護者がフォローをしてあげましょう。
そこで、宿題を夏休み中にきちんと終えるための7つのステップをご紹介します。どのプロセスも、子どもに任せっ放しにするとうまくいかないので、保護者が都度見届けるようにしてください。

【ステップ1】全体量を「見える化」する
どんな宿題がどれだけあるのかがよく分からないままだと、子どもは「姿の見えない妖怪」に立ち向かわされるようで、背を向けたくなってしまいます。そこで、まずは宿題の全体量を「見える化」しましょう。宿題のことが書いてあるお便りなどを見ながら、宿題に関係する物を1か所に集めて並べてみたり、学校から配布された宿題の一覧を子どもと一緒に読んでみたりしましょう。「これだけやればいいんだ」と分かるので、心理的な負担が少し軽くなります。

【ステップ2】宿題の量を「数値化」する
算数ドリル〇ページ、観察日記〇枚、読書感想文〇枚といったように、各宿題の量を具体的な数値で書き表します(自由研究は数字で表しにくいので「?」とする)。家庭用のホワイトボードなどを活用して、見えやすい場所に掲示しておくとよいでしょう。その作業によって、宿題の全体量をさらにはっきりと把握することができます。

【ステップ3】「始める日」と「締め切りの日」を決める
宿題に取り組む具体的な計画を作ります。各宿題の「始める日」と「締め切り日」を決めて、ステップ2で書いたものに書き足します。

【ステップ4】計画をカレンダーに記入する
ステップ3の内容を、カレンダー(または生活表など)に記入していきます。その際、算数ドリルに取り組む期間は青色で囲み、読書感想文に取り組む期間は赤色で囲むなど、色分けをすると視認性が高まります。それによって、何を、いつ始めて、いつまでに終わるのかが、はっきりと分かります。計画通りに進まない可能性を見越して、所々予備日を入れておくとよいでしょう。

【ステップ5】実行の段階では「見届け」をする
個々の宿題に取り組む段階で大事なのが、保護者の「見届け」です。見届けとは、するべきことができたかを見てあげて、できていたら、「頑張っているね」「計画通りにできているね」などと褒め、できていなかったら、取り組むよう促すことです。保護者が定期的に見届けをしないと、宿題に取り組まなくなることが多くなるため、注意が必要です。最も避けたいケースは、保護者が定期的な見届けをしないまま、思い出したかのように、突然「やっていないじゃないの!」と、子どもを叱ることです。
しっかりと自己管理ができる子なら、見届けの頻度は3日に1回くらいでも大丈夫だと思いますが、小学生のうちは、基本的に毎日見届けるようにしましょう。

【ステップ6】途中経過を「見える化」する
実行の段階においては、その途中経過を「見える化」していくことも重要です。毎日どれくらい実行できたかを評価して、生活表やカレンダーに、達成度を示す次のような記号をつけていくとよいでしょう。

宿題が計画通りにできた日には、〇
まあまあできた日には、□
半分くらいの日には、△
それ以下の日には、×
事情により、できなかった日には斜め線

といった形です。誰が評価をして記号をつけるかについては、「1.保護者が評価してつける」「2.親子で相談してつける」「3.子どもが自己評価してつける」の3パターンがあり、子どもの実態に合わせて、どのパターンにするかを選びます。しっかりと自己管理ができる子なら、3で大丈夫ですが、その自己評価が適切かどうか、保護者が確認するようにしましょう。

【ステップ7】△や×が続く場合は、親子で計画を見直す
初めにいろいろ考えて計画を作り、さらに予備日を設けても、いざ実行してみると、計画通りにいかないこともあります。つまり、△や×の日が続くような場合は、そもそも無理な計画だったということなので、親子で計画を見直しましょう。保護者が毎日の見届けをしていれば、計画の見直しもすぐにできます。それをしないままでいると、計画倒れになり、子どもを叱る回数とストレスばかりが増えていきます。

以上のステップで進めれば、子どもも楽しい夏休みを送れるようになります。ぜひ試してみて、充実した夏休みを過ごしていただきたいと思います。