谷本 祐一郎

(株)ベネッセコーポレーション 学校カンパニー 教育情報センター長

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ベネッセコーポレーション・教育情報センターが、2021年12月~2022年2月に、全国の大学を対象に行った、学校推薦型選抜・総合型選抜に関するアンケート調査について、第1回は学校推薦型選抜、第2回は総合型選抜について報告した。今回が最後の結果報告となり、学校推薦型・総合型選抜方式の集計結果の比較と、指定校推薦について報告する。なお、アンケート集計結果の完全版はベネッセハイスクールオンライン(※)に掲載しているので、高校の先生方はぜひご確認いただきたい。

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学校推薦型選抜と総合型選抜 実施目的の比較

選抜方式別に実施目的を比較すると、「意欲の高い生徒に入学してほしい」「適性の高い生徒に入学してほしい」という項目が上位にくる点はどちらの選抜方式でも共通している。一方で、「学力以外の視点で資質・能力の高い生徒に入学してほしい」という項目は、特に総合型選抜で「とても当てはまる」の回答割合が高い傾向が見られる。

学校推薦型選抜と総合型選抜 受験生に求める力の比較

選抜方式別に受験生に求める力を比較すると、「明確な志望動機」が最も上位にくる点はどちらの選抜方式でも共通しているが、総合型選抜の方が10ポイント程度高い結果となっている。学校推薦型選抜では「基礎学力」の項目で「とても重視している」とする回答割合が高い傾向がみられた。また、「コミュニケーション能力」や「何事にも前向きに取り組む姿勢」「卒業後の展望(社会に出た後にやりたいことやその理由)」といった項目も同様に、総合型選抜の方が「とても重視している」とする回答割合が高い傾向を示した。前述の実施目的の分析によれば、総合型選抜では「学力以外の視点で資質・能力の高い生徒に入学してほしい」ことを重視していたわけだが、「受験生に求める力」を読み解くと、総合型選抜を行う大学が重視している資質・能力とは、「コミュニケーション能力」や「何事にも前向きに取り組む姿勢」「卒業後の展望(社会に出た後にやりたいことやその理由)」ではないだろうか。

指定校推薦の基準

「指定校推薦を実施している」と回答した大学に合否の基準について尋ねたところ、40%の大学が「基本的に不合格になることはない」と回答した。一方で、「面接や学力試験、提出書類の内容により不合格にすることがある」という回答も一定数みられ、特に「面接」については35%の大学が結果により不合格とすることがあると答えた。

明確な志望動機は、「マイ・ストーリー」を意識

学校推薦型選抜・総合型選抜は定員枠の拡大や、高校での探究活動の広がり、また、コロナ禍で早期に合格を決めたいと思う受験生が増えたことなどから注目が高い選抜方式となっている。どちらの選抜方式においても、「明確な志望動機」を大学側が受験生に求めていることは共通していた。「明確な志望動機」には、「高校までのさまざまな経験」「大学でどんな学びを深めたいか」「社会とどう関わっていきたいか」という3つの要素を、自分自身の「マイ・ストーリー」として語れるようにすることが重要であり、これは一般選抜の志望校を固める上でも重要になってくるであろう。

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