打ち上げ後に姿勢を乱し、失敗した固体燃料ロケット「イプシロン」6号機について、文部科学省の専門家委員会は19日、姿勢制御装置の推進剤タンクに施工不良があったことなどを原因とする報告書を取りまとめた。背景要因として、人工衛星などで使用実績のある部品を利用する際の確認不足が指摘された。

 6号機は昨年10月、第2段エンジンの姿勢制御装置(RCS)の1系統が動作せず、姿勢を乱して打ち上げに失敗。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の調査で、RCSの推進剤タンク製造時に施工不良があり、タンク内のゴム膜が推進剤の出口配管をふさいだことが直接要因と分かった。

 このタンクは人工衛星などで使用実績があり、成功したイプシロン2~5号機でも使用。6号機の事前の検査で異常を見抜けなかった。報告書は「実績を重視し、使用条件の違いを含め、設計の考え方や作動原理を十分理解した上での確認が不足していた」と指摘した。