文部科学省=東京都千代田区
大学や研究機関に有期雇用で通算10年勤める研究者・教員のうち約8割が、4月に継続雇用され、「雇い止め」が回避されたことが12日、文部科学省の調査で分かった。一方、定年退職以外で契約終了となった人は16%いた。
2013年4月施行の改正労働契約法は、契約期間が通算5年を超えると無期契約に転換できると定め、大学教員や研究者の場合は無期転換ルールを特例で「10年」と規定。研究現場で大量の雇い止めが懸念され、施行から10年が経過した今年4月1日時点の雇用状況について全国の大学や研究機関を対象に調査し、94.6%の801機関から回答を得た。
それによると、無期転換特例ルールの対象者は1万2397人で、継続雇用は9977人(80.5%)に上った。内訳は、511人(4.1%)が無期労働契約を締結し、9466人(76.4%)は有期契約を継続して無期転換申込権が発生しており、希望すれば無期契約が可能となった。
一方、定年退職の425人を除き、契約終了となったのは1995人(16.1%)。38人は本人の希望だったが、次の雇用先が決まっていたのは23%の458人にとどまり、5%の101人は求職中だった。7割の1398人は、大学や研究機関側が就職や求職状況を把握していなかった。
キャリアサポートに関し、面談や転職支援・スキルアップ支援セミナー、他機関の公募状況周知を望む研究者らも多かったが、74%の374機関はこうしたサポートを行っていないと回答した。
文科省は調査結果を踏まえ、特例ルール運用の見直しの必要性などについて有識者会議で検討する方針。