教科書会社各社が力を入れるデジタル教材。2次元コード(QRコード)から接続して活用できる動画などは、あくまで「副教材」で、教科書検定の対象外だが、ある社の担当者は「検定に合格しても、デジタル教材が少ないと自治体に教科書として採択されない」と語る。

各社は、現行教材の動画などへのアクセス状況や現場教師からの聞き取り結果などを分析。親しみやすいアニメーションや、スピード調節可能な朗読音声を取り入れるなどの工夫を凝らしている。ある大手教科書会社の担当者は「道徳教科書のデジタル教材は3学年合計で35教材ぐらいだったが、今回は300程度まで増やした」と話す。

急増の背景に、GIGAスクール構想に基づく「児童生徒1人1台端末」が定着したことが挙げられる。だが、別の教科書会社の担当者は「大手は時間も人手もかけることができるが、教科書と教材、両方を充実させるのは、かなりの負担」と打ち明ける。

この担当者によると、自治体はデジタル教材の数も考慮して教科書を採択しているという。他社に引けを取るわけにはいかず、「実際に教室で使われるかどうかは置いといて、無いよりあった方がいい」と続けた。

急増するデジタル教材を専門家はどう見ているのか。東京学芸大の高橋純教授(教育工学)は「動画やビジュアル資料などを、生徒が自分のペースで繰り返し利用することができる」と高く評価しつつ、「QRコードを読み込んで使うのではスピード感がない」と指摘した。

教授によると、人工知能(AI)を活用した教材開発が進んでいるという。「今後、教科書自体が大きく変わっていく可能性がある。今はその過渡期だ」と語った。