台湾東部・花蓮沖を震源とし、18人が死亡した強い地震の発生から、3日で1カ月を迎えた。被害が集中した花蓮県では主な避難所が発生後5日間程度で役目を終え、被災者の生活再建に向けた動きが急ピッチで進む。ただ、雄大な渓谷で知られる観光名所「太魯閣(タロコ)国立公園」では落石事故が多数発生し、遊歩道は再開の見通しが立たない。観光業に依存する地元経済の復興が課題となっている。

◇消えた行列

4月28日、花蓮市内の繁華街は、休日を楽しむ地元の人たちが集い、被災地と感じさせない様子だった。一方、一角では大きなクレーン車がホテルの解体を進めていた。花蓮県消防局の幹部は「今回被害を受けた建物は全て、1999年の大地震を受けて耐震基準が改められる前に建てられたものだ」と局地的な被害にとどまった理由を解説する。

ただ、一見にぎやかに見える繁華街でも、普段に比べると人出が少ないという。地元メディア「花蓮最速報」の記者は「例年なら太魯閣目当ての観光客であちこちに長蛇の列ができる」と話す。花蓮県では農業を含むあらゆる産業が観光に関わっており、痛手は大きい。県の広報担当者は、観光客の減少に対応し、当面花蓮の産品のインターネット販売に力を入れると語る。

◇耐震補強に多大な経費

繁華街から約3キロ離れたマンションでは住民が消防隊員に付き添われて部屋から私物を運び出していた。マンションは地震当日に当局が派遣した専門家の判定で、解体か耐震補強かの選択を迫られた。マンションの住民代表を務める小学校教諭の李国隆さん(47)は「住民会議の結果、耐震補強に向けた作業を進めている。完成に4年前後かかりそうだが、住民の7~8割はすでにその間の住居が見つかった。問題は経費だ」と話した。

台湾政府は2日、285億5000万台湾ドル(約1360億円)の復興計画を決定した。政府は、住宅の解体・建て替え、被災者の住居確保を生活再建の要と位置付け、ホテルや不動産会社と協力して対策を推進。各国から集まった義援金も活用される。台湾衛生福利部(衛生省)によると、特設の募金口座には日本など海外からを含めて5月2日時点で約15億2800万台湾ドル(約73億円)が集まった。

一方、花蓮市よりも山間部に位置する東華大学では、構内に40棟以上ある建物が損傷。28日に訪れると、図書館には本とがれきが散乱し、火災が起きた校舎1棟は使用できない状態のまま。現在はオンライン授業のみで、9月の新学期からの対面授業再開を目指している。徐輝明学長は「3年間で全て復旧させたい」と意気込むが、総額約25億台湾ドル(約120億円)以上を要する見通し。徐氏は国際社会を含めた幅広い支援を呼び掛けている。