財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は11日、文部科学省予算の在り方を議論した。公立学校教員の給与として残業代の代わりに給料月額の一定割合を上乗せする「教職調整額」について、財務省は残業時間削減などの働き方改革を条件に、現行の「基本給の4%」から10%へ段階的に引き上げる独自案をまとめた。

中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の特別部会は7月、教員の働き方改革と待遇改善策を示した答申案を取りまとめ、調整額を「10%以上」に引き上げるよう提言していた。

公立学校教員については勤務時間の明確な把握が難しいため、残業代を出さない代わりに調整額を一律支給することが法律で定められている。だが、長時間労働などを理由に人手不足が深刻化しており、文科省は教員の処遇改善を目指し、2025年度予算の概算要求で調整額を「基本給の13%」まで大幅に引き上げるよう求めていた。財務省案と文科省の要求には溝があり、年末の予算編成に向けて綱引きが激しくなりそうだ。

財務省は財政審の会合で、今後5年間を教員の働き方改革を行う集中期間に位置付けた上で、残業時間を月平均20時間以内に減らす案も示した。文科省のガイドラインは現在、教員の残業の上限を原則「月45時間」以内と規定している。

財務省は調整額を引き上げる条件として、部活動をはじめとする授業以外の時間短縮や、長期休暇を取得しやすい環境整備などを項目に挙げ、働き方改革の進展がなければ引き上げを見送る。将来的には残業代を手当として支払う仕組みを検討することも視野に入れているという。