就学支援金の所得制限撤廃などを盛り込んだ2025年度予算案が4日、衆院を通過し、成立の見通しとなった。与野党が合意した26年度からの高校授業料の無償化について、保護者や学校関係者からは歓迎の声が上がる一方、地域性や専門性に伴う不公平感を訴える声も聞かれた。

中学生の息子を持つ神奈川県の女性は「私立高まで選択肢が広がるのでありがたい」と話した。世帯年収910万円超で、新たに就学支援金の対象となる北海道小樽市の40代男性会社員は「『施設の整った私立高に行きたい』という中学2年の長女の希望をかなえやすくなった」という。ただ、「授業料以外に入学金や制服代もかかる」との懸念も口にした。

「私学としては非常にありがたいこと」と話すのは、全日制高17校が加盟する長野県私立中学高等学校協会の安藤善二会長。「学費面でためらっていた家庭もあると思う。生徒が純粋に学びたい高校を選びやすくなるのではないか」と語った。

ただ、私立高数は都道府県によって大きな開きがある。文部科学省によると、最多の東京都は237校だが、最少の徳島県は3校。新潟県(16校)の自営業の40代男性は、中学2年の次男の進路について「通学圏に候補となる私立高がない」と指摘。「(高校ではなく)義務教育の充実を優先させるべきではないか」と疑問を呈した。

一方、首都圏のある県立高の校長は「(学費面以外に)公立校の魅力をどう打ち出していけばいいのか」と苦悩する。少子化で定員割れが続く学校もある中で、「特色を出さないと公立校は生き残っていけない」と嘆いた。

東海地方の県立工業高の校長も「生徒集めがますます厳しくなる」と危機感を募らせる。工作機械の更新など、普通科校よりも施設整備に費用がかかるといい、「設備を整えるための予算を組んでもらいたい」と要望した。