学校教育情報誌『VIEW next』『VIEW next』TOPへ

  • 高校向け
  • オンライン勉強会
  • リポート

これからの学校を担う! 若手教師・教育創造MTGメンバー企画
オンライン勉強会 第2弾
「実践を聞き、語り、深め合う! マイ・ベスト・グループワーク」

2022/05/16 16:30

『VIEW next』高校版編集部が、2020年4月から、次代を担う全国の若手教師の対話の場として開催してきた「若手教師・教育創造MTG」。対話を通した学びの場を全国に広げる同MTGメンバー発の企画の第2弾として、22年3月にオンライン勉強会を実施した。今回のテーマは、「グループワーク」。企画者である山口県立山口高校の石田純一先生と2人のゲスト発表者が、それぞれが実践するグループワークを紹介した後、参加者同士による「グループワーク」についての対話が行われた。

開催概要

日時:2022年3月26日(土)13時00分~15時00分
形式:オンライン(ライブ配信)
プログラム:①実践事例発表「マイグループワーク紹介」
②グループトーク「こんなグループワークをやってみた&やってみたい」

実践事例発表者

山口県立山口高校 教諭 石田純一
<プロフィール> ※2021年3月時点
教職歴10年。理科(化学)。ICTを活用したグループワークを実践。本勉強会の企画者。

静岡県立小山高校 教諭 美那川雄一
<プロフィール> ※2021年3月時点
教職歴18 年。地理歴史・公民科(世界史)。論述を題材としたグループワークを実践。(授業実践は、『VIEW21』高校版2020年10月号で紹介)

大分県立大分舞鶴高校 指導教諭 佐藤秀信
<プロフィール> ※2021年3月時点
教職歴35年。国語科。知識構成型ジグソー法を実践。(授業実践は、『VIEW next』高校版2021年12月号で紹介)

1.実践事例発表 山口県立山口高校 石田純一

「つながり」に気づくグループワーク

山口高校で育成を目指す生徒像「次代を切り拓くリーダーたる人材」とは、どのような資質・能力を持った生徒なのかを考える中で、それは、不確実性の時代に異分野の人々とつながり、新しい価値を創出する力ではないかと気づいた石田先生。そこで、講義型の授業から、生徒が「つながり」を意識する授業へと転換するために、グループワークを充実させるようになった。動画投稿サイトにアップした動画を用いた映像学習、ペアでの教え合い、そして協働して応用問題に挑む1コマの授業について、デジタルホワイトボードなどのICTを組み込んでいる点などにも触れながら紹介した。

2.実践事例発表 静岡県立小山高校 美那川雄一

深い学びを実現するために必要な「生徒理解」

グループワークの目的は、他者と自分の考えを比較し、よい点を吸収し合いながら、よりよく学ぶことだと美那川先生は考える。そうした学びは、社会に出てからも必要な学びであるからこそ、学校教育において経験させておくべきであり、学力や希望進路にかかわらず、すべての生徒が没頭できる学びの場づくりが教師に求められる。美那川先生は、「グループで取り組む価値のある課題の設定」「安心・安全に学べるグループづくり」「自分を相対化しながら学びを深める仕組み」など、深い学びを生むグループワークを成立させるための諸条件を、自身の実践例を基に説明した。

3.実践事例発表 大分県立大分舞鶴高校 佐藤秀信

生徒の「あ、そうか!」の声が聞こえる知識構成型ジグソー法

佐藤先生は、自身の国語の授業で7年前から取り組む知識構成型ジグソー法の実践を紹介した。授業ではまず、「課題」に対する答えを導くためのヒントとなる「3つの問い」を生徒が分担し、同じ問いを担当する生徒から成るグループで議論する(エキスパート活動)。次に、異なる問いの担当者から成るグループで各問いに対する考えを出し合って課題の答えを考え(ジグソー活動)、 最後に、それをクラス全体で共有する(クロストーク活動)。エキスパート活動で出す3つの問いは、「課題の答えが何となく分かるような、分からないような」適度に漠然としたものにする必要があるなど、生徒が授業の流れの中で、「あ、そうか!」と自らの力で答えにたどり着くための工夫を説明した。

4.グループトーク

実践事例発表の後、参加者は、オンライン会議システム上で3人程度の少人数のグループに分かれ、実践事例発表を聞いて得られた気づきや自身のグループワークの実践について語り合った。例えば、あるグループでは、グループワークの中で使う思考ツールと身につけさせたい力の関係について、各自の経験を振り返りながら語り合った。また、あるグループでは、生徒にとって安心・安全なグループ分けを実現するために必要な観点を具体的に語り合った。そうした参加者同士の語り合いの中で、ある教師は、「基礎学力が十分身についていない生徒が多く、学力の面でもバランスの取れたグループをつくることが難しく、なかなかグループワークらしい活動を授業に組み込めていない。しかし、そんな中でも、まずはペアで考えさせ、うまくいったら3人で考えさせよう……といった形で、生徒間のつながりを広げている。たとえ授業で明確な成果が出なくても、卒業後、社会に出た時に実を結ぶと信じたい」と、率直な思いを語った。

5.おわりに

実践事例発表者の振り返り

オンライン勉強会の最後には、実践事例発表者が、参加者との対話を振り返り、改めてグループワークに対する自身の思いを述べた。美那川先生は、「グループワークは深い学びを実現するためのもの。学校でしかできない学び、他者がいるからこそできる学びとはどのような学びか、これからも考えていきたい」と語り、佐藤先生も、「生徒たちの存在感を生かした学びが実現できれば、授業時数の減少も乗り越えられるはず」と、新課程での自身の思いを打ち明けた。最後に、企画者の石田先生が、「すべての授業には目的がある。生徒の状況を把握し、目的にフィットしたグループワークを適切に選択できるように、これからも研鑽を積みたい」と、今後の抱負を語り、オンライン勉強会の幕を閉じた。

オンライン勉強会第1弾リポート記事のご紹介

2021年12月に開催した、オンライン勉強会第1弾「目指せ、アクティブティーチャー! ともに一歩を踏み出そう!」の記事はこちら

Benesse High School Online|ベネッセハイスクールオンライン

ベネッセ教育総合研究所

Copyright ©Benesse Corporation. All rights reserved.