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実践事例

善野八千子先生
善野八千子先生
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学校評価の実践事例から学ぶこと
 はじめにお断りしますが、この両校については、取材記録以上の情報を持ちません。そのうえでのコメントであることをお許しいただきたいと思います。
教育目標が具体的でわかりやすい
 駅家南中は、「チャイムと同時に席に着く」など変化が見えやすいところから改革に取り組んでいます。見える成果がなくては、学力の定着も語れないでしょう。全国に課題を抱えている学校はたくさんあります。まず改革導入の仕方などを学びたいと思います。
 何よりも、「七つの校風」として掲げられているのは、どれも具体的な教育目標です。抽象的な教育目標が多いなかで、わかりやすいものを示した点も学びたいと思います。
7つの校風
▲表3 駅家南中の生徒たちが中心になってつくった「7つの校風」

 同校の授業評価は、授業の点検システムが定着しているかどうかの評価です。今後は、次の段階として、「わかる授業」に関する評価に進まれるとよいと思います。授業評価の目的は、あくまでも授業内容の改善です。「きょうの授業はよくわかったか」「どんなことが楽しかったか」「発言はうまくいったか」など、中身を変えながら、生徒の自己評価も含めて実施する方向に向かってほしいです。
学校ニーズに応じて配置するシステムを
 区内全部の小・中学校に外部評価者委員会を設けているというのは品川区の特色ですね。その方々が一堂に会して、共通認識を図ったり研修したりする機会はあるのでしょうか? もし、その機会がなかったとしたら、せっかく学識経験者が委嘱されるのですから、外部評価を進めるための共通認識、「こんなときはこんなアドバイスを」といったものを持っていたほうがよいのではないでしょうか。そのうえで、徐々に評価者のレベルアップを図って各学校を指導してもらうと、より効果があります。区としてもさらに特色を打ち出すことができるし、「育てたい子ども像・施策」をスムーズに生かせたりする。検討してほしいものです。
 平塚中学校は確かに、外部評価者に恵まれたと思います。学識経験者といえども、授業の課題解決のアドバイスまでできる評価者は数少ないと思います。学校のニーズに合った人材が配置されたよい例ですね。
 しかしこれを、「たまたまよい人に当たった」ではなく、学校のニーズをとらえて人材を配置することが可能なら、外部評価システムがより有効に働くでしょう。
 平塚中のことでいえば、学校選択制が進むなかで生徒数の減少は気になるところですが、生徒数が少ないからこそできる利点もあります。少人数による「わかる授業」の成果などを積極的に打ち出すとよいように思います。それを外部評価者委員会のなかでも打ち出す。「こんなに、こまやかな気配りをしています」と。
HPを活用して保護者にアピールを
 学校のホームページ(HP)に公開されている外部評価を拝見しましたが、何が課題でどのように改善しようとしているか、ちょっとわかりにくいように感じます。HPはどのような関心の層の方が見るかわかりません。まず、見たくなるように、グラフ化するなどの工夫をお勧めします。学校を開き、問いかけ、巻き込むことで、互いの信頼を築く双方向の発信をしたいですね。(談)
 
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