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教育現場の挑戦●少人数授業

愛知県犬山市立
犬山中学校
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市独自の教育改革で、少人数授業を導入
 少人数授業は、国による教員定数加配のほかに、規制緩和や地方分権の流れに乗った地方自治体が独自に導入するケースが増えている。愛知県犬山市は、市独自で非常勤講師を採用し、いち早く小・中学校に少人数授業を導入した先進的な自治体の一つだ。
 このような同市独自の教育改革のなかで、犬山中学校の少人数授業は、導入から3年目を迎えている。教務主任の河村雅之先生は、「最初のうちは、単に人数を減らしただけではないかという声もあったが、現在は少人数授業のノウハウを学校全体の授業改善に生かすことを考えるまでに成熟してきた」と話す。
少人数ならではの授業スタイルを模索
 同校は、全学年の数学と1、2年生の英語で、1学級40人を20人ずつの2集団に分ける方法で、少人数授業を実施している。その少人数授業のキーワードが、先に河村先生が指摘した「授業改善」だ。
 学習集団を半分にしても、従来の一斉指導を繰り返すだけでは、少人数の効果を生かすことはできない。少人数であるメリットを生かした指導方法や授業形態でなければならないという問題意識で取り組んできたという。
 少人数授業による「授業改善」の視点には、
(1)基礎・基本の定着をめざした授業
(2)指導方法の工夫
(3)評価規準・基準の作成と評価方法の模索
(4)コミュニケーション能力の育成
…などが挙げられているが、とくに重点が置かれているのが、基礎・基本の定着とコミュニケーション能力の育成だ。コミュニケーション能力の視点を入れたのは、学力向上には生徒同士の学び合いが大きく影響しているという考えからだ。
教科の壁を取り払う
 同校は、今年度から毎月1回「学校公開日」を設け、教育関係者や保護者だけでなく、地域住民などにも授業を公開している。これは、少人数授業など同校の取り組みを広く知ってもらうことが目的だが、校内の数学・英語以外の教員がグループ学習の実践を見ることができるようにするねらいもあったという。現職教育主任の勝村偉公朗先生は、「教科の壁を超えて互いの授業を見ることで、教員の指導力を高めたい」と説明する。
 教科担任制の中学校以上では、他教科の教員とのコミュニケーションがどうしても希薄になる傾向があり、同じ学校のなかでも他教科の授業を見る機会がほとんどないのが実情だ。学校外だけでなく、校内にも授業を開くことが、「学校公開日」のもう一つの役割であるのだろう。
写真 先生方
ガイダンスで単元全体の見通しを持たせる
 具体的な少人数授業の流れは、各単元の最初に行う学級一斉授業によるガイダンスから始まる。
 ガイダンスのときに、単元の終わりに行う「単元テスト出題予定問題」を基礎と発展に分けて配布。生徒にその単元での到達の見通しを持たせると同時に、評価規準も示して理解すべきポイントを明らかにしたり、レディネステストを実施したりする。
 ちなみにこの単元ごとのガイダンスは、これまで少人数授業のみで実施されていたが、今年度からは授業改善の一環として、数学や英語以外の主要教科でも導入されている。
 ガイダンス終了後は、1学級を二つに分け、グループ学習を中心にした少人数による授業となる。最後に単元テストで、生徒自身が自分の到達度を測るという仕組みだ。単元テストは、生徒の評価資料として使用。その分、中間テストは廃止した(図1)。
図1 単元学習の基本的な流れ
▲図1 数学の授業の基本的な流れ。図中の「習熟度別授業」は、生徒間の理解度の差が大きくなりやすい一部の単元でのみ実施されている

 
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