日本PTA全国協議会会長
赤田英博
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保護者から教育改革にひと言
●変革の今だからこそPTAが先生方を支援していきたい
教育改革が急速に進むなか、地域によって、その取り組みにもさまざまな差異が生じている。地域による教育環境の違いは、生徒と保護者にどのような影響を与えるのだろうか。中教審の委員でもある日本PTA全国協議会の赤田英博会長に、現在の教育改革への期待と懸念をうかがった。
社会環境が大きく変化したわけですから、当然、これまでの教育制度を見直すことも必要だと思います。しかし、現在の教育改革の流れはあまりにも急すぎるというのが正直な実感です。各地域が他の地域に遅れまいとするかのように改革に取り組んでいる。何かにせかされて、まるで焦っているような印象すら受けます。一度流れができてしまうと、今度は「立ち止まって、これまでの取り組みの成果をじっくりと検証しよう」とは、なかなか言えない雰囲気になってしまいます。行政指導もあるかと思いますが、先生方には、本当にこの取り組みが目の前の子どもたちを伸ばすのか、「立ち止まる勇気」を持って考えてほしいと思います。
教育は人材育成であり、いわば国を支える取り組みです。だからこそ教育改革を「流行」にしてはいけない。学校週五日制にしても、2学期制にしても、慎重にそのメリット・デメリットを検証しながら進めるべきだと思います。そのためには学校だけではなく、行政も説明責任があると思いますし、保護者にも高い問題意識と、改革の中身を理解しようとする姿勢が必要だと考えています。公教育は日本の教育を貫く背骨です。「公教育不信」などという言葉が飛び交うようでは、「公教育」を頼るしかない環境の子どもたちに対して、私たち大人はどのように責任が取れるのでしょうか。
教育の成果は、すぐに形に表れるものばかりではありません。先生方が周囲の動きに振り回されたり、他と比較して焦ったりすることなく、自信を持って子どもたちを指導できるように、PTAとして積極的に協力をしていきます。やる気のある先生方を支援できる組織でなければ、この改革期にPTAの存在意義はありませんからね。(談)
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