ベネッセ教育総合研究所
特集 中学校のキャリア教育を考える
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一覧表で、道徳と教科学習の関連を明らかに
 他人の価値観にふれながら自己の価値観を見つめ、再構築していく道徳の学習は、進路選択のうえで大きな柱となるはずだ。しかし、実際の進路指導の現場では道徳との関連をほとんど意識されていないのが現状だろう。
 下のは、北星中で作成している特別活動の「横断的指導計画」(3年生)だ。
図
 毎月の学校・学年行事、生徒会行事、学級活動、「総合的な学習の時間」、道徳、教科指導等の内容がひと目でわかる。この表に象徴される横断的な指導の試みが、同校のキャリア教育の柱となっている。なかでも注目すべきは、道徳と教科学習の関連項目が明らかにされている点だ。
 例えば5月には、道徳の「礼儀」「家族愛」などのテーマがあるが、社会科の「人間尊重と日本国憲法」や理科の「親と子のつながり」などの単元との関連が意識されていることがわかる。
 しかし、実践にあたっては、この計画にこだわらず、各担任が変えていくことが必要だと白木先生は語る。
 「生徒も違えば教師も違いますから、教師の価値観や担当教科、生徒の実態に合わせて、題材は自由につくっていい」
 今回見学した白木先生の「人として生きること」がテーマの道徳の授業は、前時の道徳で扱った三浦綾子の「塩狩峠」と、国語で学習した森鴎外の「高瀬舟」を受けて行われたものだった。
 「横断的指導で大事なのは、その時間が道徳なのか国語なのか、ねらいをはっきりさせることです。道徳の授業のねらいは『道徳的価値の自覚』でしたが、国語は対立する価値を題材に、ディスカッション形式で行いました。指導者がそこを明確にしておかないと、生徒も混乱してしまうでしょう」(白木先生)
 そして、何より大切なのは道徳を通じて学年教師とのコミュニケーションを図ること。今回も、「塩狩峠」の生徒の感想が素晴らしかったと職員室で話をしたところ、「ぜひ読ませてください」との声が出たので、回し読みしてもらったという。
 「例えば理科は天体を学習しているとか、同学年の先生が、いま、何をどんなねらいで教えているのかが見える学年チームが理想だと思います」(白木先生)


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