ベネッセ教育総合研究所
岐阜県可児市立中部中学校
中部中学校
 飛騨川と木曽川の合流点、東濃丘陵にある可児市。北部に位置する中部中学校は県下有数の大規模校で、1948年に開校。「Educe9推進委員会」が発足して学校、家庭、地域が連携を密にした教育実践を推進。小学校での交流授業や研究会、職員の資質向上を目的としたボランティア活動などにも積極的に取り組んでいるほか、生徒会を中心とした自治活動も盛んで、運動系部活動の優勝旗が21本を数えるなど、さまざまな面で活気にあふれている。
〒509-0214
岐阜県可児市広見1086
TEL  0574-62-1161
FAX  0574-60-0393
生徒数/840人、
学級数/24学級
山田昭郎校長
山田昭郎校長
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生徒同士で学び合う「学習集団」の育成に
一枚岩になって取り組む
実践のポイント
(1)習熟度別学習での反省から、今年度は教科で、「学び合い」を重視した授業を展開。
(2)学び合いのできる学習集団を生み出す「学級づくり」に力を入れる。
(3)職員会議を月1回、指導部長会、主任会、生活担当者会を毎週1回実施。それを組織運営の核と位置づける。


各教科で展開される「学び合い」の仕かけ
数学
 3年生数学の図形の相似の授業。開始早々、先生が黒板の問題を示しながら、「どうすればこれが証明できるのか、前の授業で習ったよね。じゃあ、隣同士で説明してみて」と言うと、生徒たちは立ち上がって二人一組で向き合い、いっせいに話し始める。「こことここが等しいから…」。一方が終わったら、もう片方が同じように説明する。数学の授業とは思えないそんなにぎやかさこそ、中部中学校のめざす「学び合い」のできる「学習集団」を象徴する光景だ。
 数学では、教師の目が生徒一人ひとりに行き届くよう、一つのクラスを二つに分けた少人数授業を採用(表1)。
図
 そこで優先されるのは「学び合い」のよさ。二つの集団はできるだけ均質でさまざまな生徒が混じるように配慮される。
 授業の途中、六人程度のグループに分かれる場面があった。学習が進んでいる生徒が、ほかの生徒たちに自分の考えを説明したり、わからない生徒に教えたり。先生の目がなかなか行き届かない面を、いわば「生徒がTTの一人になる」形でカバーしているわけだ。
図
▲写真1 図形の相似の証明方法について、互いに説明し合う生徒たち。
どのペアもすぐにしっかりと声を出して説明を始める
英語
 英語では、少人数授業ではなくTTを採用している。取材した3年生の英語では、「病院で身体の不調を訴える」という場面設定で、一人の先生が医師、もう一人の先生が患者に扮して、対応のよい例と悪い例を演じたあと、生徒が二人一組で医師と患者になってロールプレイをする。それも、基本の会話を繰り返すのではなく、患者役が「熱が高い」などの症状を考えて発展させるように設定。ペアも次々に相手を替えることで、言語の使用に慣れ、仲間の表現から学び、自分の表現を広げていけるよう配慮されている。
 二人の教師は教室の右と左に分かれて生徒たちの会話を聴き取り、困っている生徒を援助するほか、いい表現を使っている生徒をチェック。最後には、その生徒たちにみんなの前で演じさせ、いい表現を広めるきっかけにもしていた。
 授業の後にはカードに感想などを記入。そこに、「○○さんの説明がわかりやすかった」などの声が挙げられていたら、その子に知らせて大いにほめ、意欲・態度面で評価することも欠かさない。
写真
▲写真2 生徒たちが教師と同じように二人一組になってロールプレイ。
教師は教室の右と左に分かれて生徒たちのやりとりをチェックする


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