Chapter3 生徒にどんな学力を求めているか
教科・科目の応用力も重視する傾向が出てきている
多様な学力層の生徒に対応できる入試を模索 |
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図5は、高校入試を通じて、生徒のどんな学力を見ようとしているかを県教委に質問したものです。 |
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それによると、「教科・科目の基礎的な知識・理解」を「とても重視」している県は76.9%。「教科・科目の応用力」を「とても重視」している県は57.7%という結果が出ました。どちらも高い数値です。
公立高校の一斉入試では、さまざまな学力層の生徒が受験します。そのため入試問題も、基礎問題から応用問題までバランスよく配置されています。けれども、学力上位層の得点差がつきにくいという問題がありました。
東京都では01年度より前述のとおり、一部進学校において、一斉入試ではなく、各高校が独自に作成した問題による入試を実施しています。04年度では11校、05年度はさらに2校が加わります。
それらの独自問題の内容を分析してみると、一斉入試に比べて概して難易度の高いものとなっています。
04年度は、前期・後期合わせて11都県で「独自入試」が導入されていますが、05年度はさらに4県(注)、06年度以降でさらに4県で「独自入試」の導入が公表されています。
注 05年度導入を公表している4県以外に青森県でも検討中。
一斉入試の内容の改善と併せ、入試問題そのものを自校の考え方に合ったかたちにしていく動きは、加速しているといえるでしょう。
そのほかに、入試を通じて見ようとしている学力で多かったものは、「論理的思考力や計画力・判断力・問題解決力・リテラシー」や「表現力」があげられます。これは前述したように、新教育課程で求められている学力が、本当に身についているかどうかを測ろうとしたものです。
Chapter2、3で見てきたように、高校入試問題の内容は多様化しています。中学校現場としては、各高校の入試内容を踏まえたこまやかな指導が求められているといえます。(談) |