ベネッセ教育総合研究所
特集 変わる高校入試に中学校はどう向き合うか
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数学

 数学では、証明問題などを中心に、答えを導き出すまでの過程をきちんと記述させるタイプの問題や、問題自体をしっかり読み取って情報を整理しないと解けない問題も増えています。問題にじっくり取り組む習慣がないと対応しにくくなっています。
 図2は和歌山県立向陽高校の学校独自問題ですが、「(観覧車が)動き始めてから5分間で、ゴンドラAが円周上を移動する距離」などを求めさせています。数学では、このような身近な素材を用いた問題が増えているのも、一つの特徴です。
 思考力・表現力を問う傾向は独自入試では特に顕著になっており、十分な対策が必要といえます。
図表
国語

 国語では、従来の読む力・書く力に加えて、聞く力・話す力が新教育課程で重視されるようになっています。その聞く力を測ろうとしているのが、図3の佐賀県の問題です。
図表
 これは聞き取りによる作文テストで、生徒はまず放送で、豊かになった現代生活に対する川崎さんの意見を聞き取ります。そして川崎さんの意見をまとめ、それに反対する立場からの意見を書く、というものです。ここでは聞く力のほかに、文章を要約する力や相手に自分の意見を伝える表現力も求められています。
 今回の調査では、国語の聞き取りテストを実施する予定がない県が多数を占めました。したがって佐賀県のような聞き取りテストが今後普及するかどうかは微妙(04年度は、青森県、島根県、山口県、佐賀県、鹿児島県、沖縄県で実施)ですが、会話文を素材にした読解問題や、「スピーチ原稿」を書く作文など、話す力・聞く力を意識した出題は増えることが予想されます。また、近年増えている公立中高一貫校の中学入学時の適性検査では、聞き取りを課す学校も多く、今後、高校入試にも影響してくる可能性は考えられます。
 このほか、近年の国語の傾向としては、グラフを読み取って、その内容をまとめたうえで、それについての自分の意見を書く、というタイプの作文問題も増えています。文章の読み取りだけでなく、図・グラフなどの読み取りも国語として重要になってきています。


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