子どもの教科学力(国語と算数の合計得点)を上・中・下の三つの層に分け、上と下、二つの層に属する子どもの保護者の回答を対比したものである。例えば、「子どもといっしょに本を読んだり、読んだ本の感想を話し合ったりしている」という設問についてみると、教科学力上位層と下位層との保護者の回答には、18.7ポイントの差がみられ、「テレビを見る時間やゲームをする時間を制限している」という設問では16.7ポイントの差がみられる。他項目でも同様の傾向が認められ、保護者の働きかけが子どもの教科学力と密接にかかわっていることがうかがえる。
学校がこうしたデータを積極的に活用し、家庭での保護者の果たす役割や子どもへの望ましい働きかけを促す材料を提案することは、今後ますます重要となる。
今回の調査では、学力向上に向けた学校の組織的な取り組みと学力形成との関係について、また保護者による子どもへの働きかけと学力形成との関係を総合的に調べている。学校の組織的な取り組みとは、学校での学力向上に向けたPDCAサイクルの推進状況、校長のリーダーシップの発揮状況などである。
ベネッセ教育総研は、今回の調査の結果が、学力向上に向けた学校の総合的な取り組みのデザイン=「確かな学力を育成するための確かなビジョンづくり」に広く役立つことを願っている。今後の分析に期待していただければ幸いである。
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