ベネッセ教育総合研究所
特集 小・中の壁を超える中1・1学期の指導 とは?
PAGE 15/15 前ページ


体育会を通じて縦の仲間関係を深める
 推進事業での小・小連携が、子どもたちの横のつながりを深める効果をもたらすなら、縦のつながりを深める役割を担っているのが、赤池中学校の学校行事である体育会だ。
 赤池中学校では従来、体育会を秋のシーズンに学年別、クラス別のチーム分けで開催していた。しかし2年前から「先輩と後輩がお互いに協力しながら行動する場面をつくることで、1学期から生徒のコミュニケーション力を高める」ことを目的にチームを編成。学年を超えた縦割りで、時期も新入生が入学して間もない6月に移した。
「縦割り編成にしたのと同時に、競技種目も再考。綱引き、ムカデ競走、輪くぐり、創作ダンスなど、1年生から3年生までが互いに協力できる種目を取り入れるようにしたのです」(柴田先生)
 例えば女子の種目である創作ダンスでは、各学年からダンス委員が選出され、曲の選択から振り付けまでを生徒自身で決める。3年生は下級生を指導することでリーダーシップを養う。一方1年生は、ほかの学年との交流を通して、中学校生活に慣れていくわけだ(写真2)。
写真
▲写真2 体育会の創作ダンス。
体育会の前には、学年を超えて練習をする風景が見られる。
振り付けや音楽は、生徒たちが考える
「実は小6生を対象に3月に行う体験入学のときも、中2生と小6生が一緒に花壇にチューリップの球根を植えるという取り組みをしているんです。縦のつながりを強めることは、これからも意識的にやっていきたいですね」(柴田先生)
 新入生を中学校に適応させるには、中1の1学期段階での人間関係づくり、仲間づくりがポイントになる。それと同時に、小学校と連携を図りながら中学生を一緒に育てていく体制も重要となる。
「推進事業が終わったいま、いかに小・中連携を持続していくかが今後の課題」(鍋藤校長)という赤池中学校は、仲間づくりと小・中連携の両方を視野に入れた教育実践を進めつつある。赤池中学校の不登校の生徒数は、02年度が20人、03年度は13人に減少した(図1)。
▼図1 赤池町の小・中学校3校の不登校の児童・生徒数の変化。
小・中の連携で、児童・生徒へのよりきめ細かい指導が可能になったことで、
不登校の数は小学校、中学校ともに大幅に減少した
図表


PAGE 15/15 前ページ
 このウェブページに掲載のイラスト・写真・音声・その他のコンテンツは無断転載を禁じます。
 
© Benesse Holdings, Inc. 2014 All rights reserved.

Benesse