ベネッセ教育総合研究所
私立日本大学山形中学校
境野中学校データ
 桐生市は群馬県の東端、栃木県との県境に位置する。古くから桐生織物の産地として栄え、現在も織物生産が盛んな人口約11万4千人の町。境野中学校は市の南端の住宅街にある中規模校。代々織物関係に携わる家庭が多い一方、新しい住民も増えてきている。落ち着いた環境で、学校と生徒、保護者の関係も良好。市の情報教育推進校の指定を受けたこともあり、IT環境も充実している。
〒376-0002
群馬県桐生市境野町6-1673
TEL 0277-44-4249
FAX 0277-44-4239
http://www.sakaino-j.ed.jp/
校長/石川等先生
生徒数/284人、
学級数/9学級
石川等
▲石川等校長
PAGE 1/6 次ページ


ITの「双方向コミュニケーション」が
生徒の発想を広げる
 IT教材を取り入れている学校は多いが、すべての教科でIT教材を採用し、授業に役立てている学校はまだ少ない。市の情報教育推進の指定校となったのをきっかけに、教員・生徒それぞれがITスキルを向上させ、学習に役立てている境野中学校の事例を紹介しよう。


すべての教科で試したIT活用の可能性
 境野中学校では2001年4月から04年3月までの3年間、桐生市の情報教育推進の指定校として、すべての教科でIT教材の活用の可能性を探った。そのために情報教育を担当する神山精二先生が行ったのが、技術・家庭科の技術分野で学習している「情報とコンピュータ」の指導計画の共有だ。
「情報教育推進の指定校となる前から、技術科では3年間の見通しを持った情報教育を行っていました。しかし、指定を受けてからは、他教科の先生にも指導計画を知っていただき、『1年生はここまでできるからこの教科ではこれが使える』といった活用のイメージを広げてもらうようにしました」(神山先生)
 境野中学校ではさらに教員の研修会などでパソコンにふれる機会を増やし、教科の学習のなかでコンピュータを活用できる場面を積極的に探して、授業に取り入れていった。ただ、その実践もスムーズに進んだわけではない。
「現在、授業でよく活用している『たねっとランド』(注1)も01年度当初はあまり使わなかったんです。でも半年後にITサポーター(注2)の渡邊康樹さんから活用のメリットについて本格的にお話があって、1年後の研修には他の先生方も食いついてきました。先生方が“使える”と思うまでには少し時間がかかりますが、一つでも活用例を見ると、がらりと変わりますね。とくに技術科以外の教科で使い始めると、それに影響を受けて使う先生が増えていきました」(神山先生)
注1 たねっとランド 学校のネットワーク環境を利用して、リアルタイムに情報を閲覧したり、編集・投稿したりできるベネッセコーポレーションのグループウエア。
注2 ITサポーター ベネッセコーポレーションの「スクールイントラパック」のオプションサービス。専門のサポートスタッフ(ベネッセオフィシャルサポーター)が各学校に毎月定期的に訪問し、授業でパソコンを活用する方法について先生方と一緒に検討し、授業前のパソコン機器の準備や授業中の先生、子どものパソコン操作の補助などのサポートを行う。
 他教科のなかでもITを使ったユニークな授業をしているのが美術科の柏瀬薫世先生だ。美術でIT教材を活用している事例は全国的にもまだ少ない。あるとしても、インターネットを利用した「ルーブル美術館の鑑賞」、「ペイント」ソフトを使っての作画、アニメーションの作成など、数えるくらいだ。そんななかで、柏瀬先生はコンピュータを早くから授業に取り入れてきた。現在は、年間35~45時間ある美術の時間のうち、2~3時間をコンピュータ室での作業に充てている。
 では、柏瀬先生の「たねっとランド」を使った美術の授業を見てみよう。


PAGE 1/6 次ページ
 このウェブページに掲載のイラスト・写真・音声・その他のコンテンツは無断転載を禁じます。
 
© Benesse Holdings, Inc. 2014 All rights reserved.

Benesse