モラルの向上がスキルアップにつながる |
|
情報教育に取り組んだ3年間の成果の一つが、IT機器を使う際の生徒のモラルの高さだ。例えば、学校にはデジタルカメラが20台、職員室前の廊下の保管棚に置いてある。「デジタルカメラ使用書」に名前、使用目的などを書けば、いつでも使えるようになっている。 |
▲職員室前の廊下にあるデジタルカメラ保管棚。使用書に 使用者名と使用目的を記入するだけでいつでも使えるように なっているが、紛失などのトラブルはないという
|
▲デジタルカメラは電池の消耗が激しいので、充電用電池を 使用しているが、これは神山先生手作りの充電器用専用棚
|
また、ITサポーターが滞在しているときには、昼休みと放課後は同意書に記入するなどの約束事を決めたうえでコンピュータ室を開放していた。 |
▲コンピュータ室使用の約束。 生徒たちはネチケットを守って利用している
|
やや無防備にさえ見える状況だが、デジカメの紛失や、パソコンのデータ破損など大きなトラブルは起こっていないという。
「生徒たちがきちんとルールを守ることができるからこそ、自由に使える環境が生まれているといえます」と神山先生は語る。
ではこうしたモラルはどのように形づくられるのか。
「1年のときから技術科でネチケットをしっかり教えているということはあります。しかしそれだけでなく、他教科の学習でIT教材を使う際には、そのつどネチケットに十分配慮して指導していただいた成果だと思います」(神山先生)
最初は変なサイトをのぞこうとする子がいても、いろいろな教科の授業で使用上のマナーを教わりながらコンピュータを使うなかで、次第に正しい使い方を身につけていく。パソコンにふれる機会が多くなったことが、結果的にモラルの向上につながったと神山先生は指摘する。モラルの高さがパソコン使用の自由度を高め、それがスキルの向上につながっているのだ。
現在は市の情報教育推進の指定校期間が終了し、ITサポーターの派遣もなくなった。今後、IT教材の活用を継続していくためにも、これまでにつくり上げた環境をどう維持し、向上させていくのかが、いまの課題だと神山先生は言う。
「IT教材は無理に使わなければならないものではありません。先生方の頭から『IT教材は特別なもの』という意識を取り払って、教科で最適な活用の仕方をイメージできるようになることを目指したいですね」(神山先生) |