ベネッセ教育総合研究所
特集 学びに向かう集団づくり
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学びに向かう集団づくり
生徒一人ひとりが持つ学ぶ力を、
集団としてまとめあげ、その相乗効果を
個々の確かな学びへと還元する……。
集団による学び合いの可能性について考える。


課題整理
学習集団をつくり、学習集団を生かす
最近、生徒の気質の変化とともに、多くの教師が学びに向かわせるための
学習集団形成が難しくなってきていると感じている。そのような状況のなかで、
自立的学習者を育てるための、学びの集団づくりのポイントを検証していく。
1 学習集団を形成しにくい中学校
 生徒の学習意欲を向上させるうえで、学習集団の及ぼす力は大きい。「クラスにいると楽しい」「自分はクラスメートから認められている」という意識は、学習や行事に対する前向きな気持ちにつながる。また、授業中にはグループ活動などで意見を言い合う場を通じて生徒同士がお互いに、知識や理解を深めていくことも可能になる。
  だが最近教師の間から、「生徒集団の力を活用しようにも、そもそも集団自体の成立が難しい」という声をよく耳にする。ベネッセが2002年に実施した「学習指導基本調査」でも、「リーダーシップのとれる生徒」や「協調性のある生徒」など、集団形成の核となる生徒が「減った」と感じる教師が多いことがわかる(図1)。
図1 教師が感じる生徒の変化
図表

 リーダーシップのとれる生徒や協調性のある生徒が減った背景には、少子化の影響で子どもが群れ遊びの中で人間関係をつくる機会が減ったなどの理由が考えられる。問題なのは、そうした生徒の変化に対して、十分に応えられる態勢にない中学校が多いことだ。中学校は教科担任制となるため、学習集団づくりには、クラス担任だけでなく教科担任も含めた学年団全体で実態を共有して取り組む必要がある。だが教師は、さまざまな業務に追われており、学習集団づくりに時間を割く余裕がないのが現実だ。
  限られた時間のなかで、未成熟の学習集団を活性化した学習集団へとつくり変えていくには、ポイントを押さえた手立てが必要となる。本特集では、その手法について事例を交えながら考察していきたい。


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