ベネッセ教育総合研究所
特集 学びに向かう集団づくり インタビュー三宅なほみ
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長期的な知識定着を狙うなら協調型の学習の方が効果を発揮する
 車作りの学習プログラムで生徒たちが取り組んだのは、「車を遠くまで走らせる」という共通課題を解決するために、それぞれのグループが「これが正しいはすだ」という解を持ち寄り、実験によって検証し、正しい解を導き出すというものです。学習科学の分野で、こうした「協調型の学びの中で、問題を解く」という方法が注目を集めているのには、二つの理由があります。
  一つは、知識を教え込む従来の教授型の学習よりは、協調型の学習は知識の定着度が高いことです。短期的な視点だけでとらえれば、教授型学習のほうが学習直後のテストの点数は上になります。定期テストや高校入試のことを考えれば、教授型学習のほうが優れているかもしれません。しかし、中学・高校時代に習った教科書の中味を正確には覚えていないことから考えてもわかるように、教授型で得た知識は、時間の経過とともに急激に抜け落ちます。
  一方、協調型の学習は、身につけた知識を長期的に保持するという点で優れています。協調型の学習では複数の生徒が多様な答えを出すため、ほかの生徒の解を、自分の解と比較しながら検討する機会が増えます。また、ある生徒の「ストローが太いと、車が遠くまで走るんだよね」という発言に対して、ほかの生徒が「それはたくさんの量の空気がいっきに出ることによって、加速度がつくからじゃないかな」と答えるように、ある生徒が提出した具体的な状況に即した解を、ほかの生徒がより抽象的なレベルで解釈し直す機会も増えます。こうした場面を通して、生徒は深いレベルで知識や理解を自分のものとしていきます。
図2 協調性の学習の仕組み
図表



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