ベネッセ教育総合研究所
特集 学びに向かう集団づくり インタビュー三宅なほみ
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協調型の学習を成立させるにはスキルが必要
 協調型の学習を成功させるためには、生徒に協調型の学習のスキルを身につけさせることが条件です。協調型の学習に慣れていない生徒には、ガイダンスなしでは効果的な実践になりません。「できるだけ遠くまで走る車を作ろう」という課題を、「どのグループが一番遠くまで走る車を作れるか競い合う」という課題として生徒がとらえてしまうと、見つけた解をグループ内の秘密にしようとする動きが出てきます。これでは、多様な解をみんなで吟味して、適切な解を導き出すといった機会は生まれません。
  また、A班が出した解を、B班が使うケースが出てきます。A班から「僕たちの研究成果を盗むなんてずるい」といった声が上がることもあるでしょう。この機会に、教師は「科学者だって、研究テーマを深めるために他人の研究成果を参考にすることもある。そして、成果を借用したことを公表するというルールがある」ことを説明できます。そして、ある課題を解決するには、解を発表して共有したり、他の解を積極的に取りにいき、多くの解を自分なりに整理することが必要だと教えます。
  生徒は「自分の考えを言うことでグループが活性化する」とか、「他人の意見を聞くことで理解が深まる」といった経験から「自分の意見を言うことは得だ」と考えるようになります。その経験が、自分が出した解を独占するのではなく、みんなと共有したほうがプラスに働くことを体験的に学び取ることにつながります。協調型の学習スキルは、協調型の学習体験を通して効果的に身につけることができます。そして、一度身につけた学習態度は、次に新しい課題に臨むときにも持続されることになります。


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