ベネッセ教育総合研究所
特集 学びに向かう集団づくり インタビュー三宅なほみ
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協調型の学習は時間がかかるどんな学力を身につけさせるか
学校として目標を明確に
 私は今後の学校教育は、教授型中心の学習から協調型中心の学習へとスタイルを変えていく必要があると思います。しかし、現在の学校現場で協調型の学習を普及させるうえでは制約もあります。協調型の学習は、一つの学習プログラムをすべて終了させるのに、10週間前後の学習期間が必要です。そのため、「総合的な学習の時間」を活用するとしても、一つのテーマをじっくりと追っていくことが求められます。
  ゴミ問題の解決をテーマに、生徒が班に分かれて、A市、B市、C市の取り組みを調べたとします。そして、「A市は大規模な焼却場をつくった」「B市は分別収集を始めた」「C市は収集の有料化を開始した」といったことがわかりました。しかし、調査結果を発表するだけなら、調べ学習の範囲にとどまります。協調型の学習では、各班の発表を受け、どの方法がいちばんいいかをみんなで議論します。そして再度調査し、問題の解決に最適な解を探り当てようとする。協調型の学習では、こうした「自分の考えをほかの生徒に表出する。ほかの生徒の反応を受けて、もう一度自分で考え直す」という繰り返しで、確かな知識や理解を獲得していきます。調べ学習の課題を持ち寄って、共通の課題についてみんなで話し合うだけでも、理解は違ってくるはずです。
  学校現場や国の教育施策に求められるのは、生徒にどんな学力を身につけさせたいのか、目的を明確にすることです。これからの日本社会には、年月を経ても知識や理解が風化せず、新しい課題に直面したときに、まわりの意見を取り入れながら、自分で解を見つけだせる「学び方」の手法を身につけることが大切だと思います(談)。



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