教育現場の挑戦 [学力向上の取り組み]静岡県浜松市立蜆塚中学校

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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生徒が見通しをもって授業に参加できる情報提供の工夫

 生徒が自己分析を行うのは、定着度評価の「学力分析」だけではない。蜆塚中学校の通信簿にあたる「学びの足跡」では、教師による教科別の5段階評価とは別に、生徒自身にも4段階での自己評価をさせている。もし教師の評価と自己評価が食い違った場合には、生徒が教師に質問をする機会も設けている。学びを、人から評価されるものとしてだけではなく、自分自身のものとして生徒にとらえてほしいという思いがあるからだ。
 「年度当初には教科ガイダンスも行っており、授業のねらいや進め方、観点別評価の意味などを生徒に説明しています。ですから実際の授業でも生徒たちは、『いま行っているこの取り組みは、こんな力を伸ばすことを目的としたものだな』と理解したうえで授業に臨むことができます。ガイダンスによって生徒が授業への見通しを持ち、受け身ではない参加型の授業が可能になっていくのです」(田中先生)
 全国的な学力低下問題について、実は本当に深刻なのは、「学力の低下」よりも「学習意欲の低下」なのではないか、と指摘する声は少なくない。そんななかで、生徒が自ら学習へと向かうためのさまざまな手立てを行っている蜆塚中学校の実践に今後も注目したい。


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