特集 つながる小中の「学び」―小学校から中学校、その接続を考える―
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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生徒自身の活動を重視した授業

 1年次には辞書指導にも力を注いでいる。現行の学習指導要領になって授業時数が削減された分、生徒の自学自習力が重要になっているが、そのときに辞書を使いこなせるかどうかが、生徒が1人で勉強を進める鍵となるからだ。
  2年生になると今度は、教科書を何度も音読することから、初めて目にする英文をすらすらと音読できることに目標を移していく。スピーキングは、教科書をベースにするのではなく、自分で考えたことを自分なりに表現すること。同時にライティングの指導も本格的に取り入れられ、自分たちが話したり、先生が口にしたりした内容を書く練習をする。
  更に3年生になると、音読はほとんど行わなくなり、速読、多読が中心になる。教科書の英文が複雑かつ抽象的になり、声に出して読んでもすらすらと頭に入ってくるようなものではなくなるからだ。ライティングは、自分のオリジナルの文章を書けるようになることが目標とされる。
  このように、生徒の英語の習得段階に応じて、指導の比重を大きく変化させているのが、北原先生の授業なのだ。
  一方、3年間を通じて重視していることもある。それは、授業の中で生徒が活動をする場面を数多く設定していることだ。話したり、読んだり、書いたり……。歌、ペア活動やゲームなど、楽しみながら英語を習得していく工夫がちりばめられている。
  「英語は自ら読んだり話したりする中で、身につけていくものです。先生が1人で喋っているような授業では、生徒の力を伸ばす機会を減らしてしまいますからね。学年によって活動の比重は変えても、生徒自身の活動を重視する姿勢に変わりはありません」
  最近は歌やゲームを中心とした、英語活動を実施する小学校が全国的に増えている。生徒を授業に楽しく参加させながら、英語の教科学力をしっかり身につけさせる北原先生の授業手法は、そんな小学校と中学校を滑らかにつなぐうえでも有効な手だてとなるだろう。

写真2
写真2 北原先生が開発した指導方法は、狛江第一中学校の英語科の教師全員で実践されている

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