教育現場の挑戦 [学力向上の取り組み]栃木県佐野市立葛生中学校

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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校長自ら積極的に教師や生徒の話を聞く

 教師同士が自由に話し合う雰囲気が生まれた背景には、神山校長の明確な方針に基づく学校経営がある。
  「自ら学ぶ人」という教育目標は、授業での満足感の向上に限ったことではない。例えば、ノーチャイムを取り入れているのも、チャイムに頼らないことで、自分で時間を見て、先回りして行動する力を養うというねらいから生まれたものだ。実際には時間通りに始められることで50分間きっちりと授業ができるメリットも生まれた。
  また、国際化の進む社会だからこそ、「自分の考えをはっきり述べる」という姿勢を世界の中でも発揮してほしいという思いから、スキー教室だった体験学習を外国人との交流学習に変更した。生活指導を挨拶、清掃、服装・頭髪の3点に絞った「三魂運動」として徹底させているのも、学校を落ち着かせ、学習に向かう雰囲気づくりにつながっている。
  こうした方針を実現させるために神山校長は自ら、積極的なコミュニケーションを心掛けている。毎学期の始まりには、「学校経営の理念」のプリントを教師に配布し、1時間ほどかけて自分の考えを語りかける。
  「校長の方針がはっきりしているし、新しい挑戦を積極的に応援してくれるので、やる気になります。また、責任分担をはっきりさせているから、『だれかがやってくれる』ではなく、『自分がやらなきゃ』という雰囲気が生まれていきます」(飯田先生)
  教師に対してばかりではない。給食の時間には生徒を校長室に招き、食事をともにする。それも、人数は2人ずつに限り、じっくり話ができるように工夫しているのだ。2、3年生とは全員食事をしたという。
  「小規模校には、一人ひとりをじっくり見られるよさがあります。最初は3年生だけだったんですが、今年から2年生にも広げました。『先生たちは勉強を教えてくれるけれど、校長先生は普段何をしているんですか?』なんて聞いてくる生徒もいるんですよ」(神山校長)
  すれ違うたび元気に挨拶する生徒たち。「生徒に聞く」姿勢を教師が持ち続けている結果が、生徒の姿にもしっかりと表れている。

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