特集 学校力を生み出す学校評価

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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今なぜ、学校評価が求められるのか

―では、「学校力」を高めるために、どのように学校評価を機能させればよいのでしょうか。

北神 これまでにも、「自己評価」という形で、多くの学校が評価を行ってきました。それが、今、注目される背景には、学校の裁量が拡大していることがあります。裁量が大きくなれば、それだけ責任も重くなります。だからこそ、外部の評価を受けることで、各校の成長を促したいというのが国の考えです。
  しかし、自己評価を十分にしていない学校が外部評価を行った場合、単に批判の対象になるおそれがあります。まずは自己評価をしっかりと実践し、そのうえで外部評価をプラスするという考え方で進めるべきでしょう。
岩堂 外部評価には、学外の意見に振り回され、学校が主体性を失う危険性があると思います。本校では、外部評価の導入前から学校の方針や教育内容を何度も発信し、骨組みがぐらつかないようにしたうえで、「本校が見逃していることがあれば教えてください」といったスタンスで外部評価に臨みました。
北神 初めて外部評価を行う学校が陥りやすいのが、評価そのものが目的になってしまうことです。評価は、目的によって中身も時期も方法も異なります。最初は「どういう評価表を作るか」よりも、「何を評価してもらうか」を考えるべきです。評価の対象は、取り組みのねらいなのか、成果なのか、プロセスなのか。目的を十分検討したうえで評価項目を絞り込まなければ、調査結果を学校改善に生かせず、評価しただけで終わりかねません。
岩堂 本校では、1学期末と2学期末に学校評価を実施し、指導案となる「企画書」を作成して、次学期に反映させています。難しいのは、評価項目の絞り込みと、結果を分析して改善策に導く過程です。分析は夏休みや冬休みに行うため、負担は大きくありませんが、教師各自に任せる形になり、皆で話し合う時間が十分に確保できていません。
北神 それでも、企画書という形で次につなげようとしているのは、立派なことです。
小川 本校では、学校評価導入前に十分に内容を検討する時間がなく、既に学校評価を実践している学校の評価項目を参考にしました。年1回が適当という意見もあると思いますが、課題が浮上したときに即座に対応するため、私の判断で年2回の実施にしました。今の課題は、岩堂先生と同様、評価結果をいかに改善策に結びつけるかという点です。
北神 評価では、どうしてもマイナス面に目が行きがちですが、学校のよさを見つけることも忘れないでほしいと思います。「子どものよさを皆で見つけよう」という点に力を入れつつ、改善課題を引っ張り上げることも必要なのではないでしょうか。
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学校評価の大きな役割は、保護者や地域住民といった外部と、学校とを「つなぐ」こと。特に、「地域に開かれた学校」をめざす場合は、非常に有用な手段になるはずです。導入前には、「何を評価してほしいか」をじっくり検討することが重要でしょう(北神正行先生)

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