特集 学校力を生み出す学校評価
善野八千子

▲奈良文化女子短大教授

善野八千子

Zenno Yachiko

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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中川中学校の

実践から学ぶこと

奈良文化女子短大教授
善野八千子先生

自校の強みを生かした特色づくりと課題改善を並行させたのがポイント

 中学校は学年や教科の意識が強く、どの学年・教科に問題があるかを明確にすることを避ける傾向にありますが、ここでは、どの学年・教科のどの部分に課題があるかまで明らかにした点が評価されます。学力調査による実態把握は、「教員評価」や「学校のランクづけ」につながるのではないかという誤解が生じやすいですが、本来の目的は、このように課題を焦点化することです。その意味で、外部の専門スタッフを招いた校内研修で、客観的に課題を導き出した点はよかったと思います。
  次に、調査を契機に、「家庭学習不足」の対策を見直した点が評価されます。その際、宿題の出し方について教師にアンケートを実施したことがポイントです。外部機関の調査結果をプランに生かすには、校内独自の実態把握がときには必要だからです。生徒が「宿題に取り組みやすくなった」という成果が出たのは、「学習習慣の定着」というゴールを教師が共有していたからでしょう。
  また、マイナスをプラスにする改善(課題解決)は、プラスを更にプラスにする改革(特色づくり)とセットで推進することが重要です。ここでは「地域連携」の強みを生かした取り組みが「自校への誇り」を高めています。評価を受けて元気になる学校と、問題解決にのみ奔走し多忙感だけを募らせる学校との分岐点は、評価をいかに特色づくりに生かしているかという点にあると思います。

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